CKD患者さんに投与された腎排泄薬剤による副作用出現をトレーシングレポートで報告した症例
またまた腎臓関連の投稿になってしまいました。
他の内容もあったのだけど・・・
書きたい気持ちになるのはやはり腎臓関連。
こんなにも腎臓が愛しいとは!
確かに腎臓の事が気になって気になって腎臓愛が強いのはホントなんだけど・・・ それ以上に~
CKDは認識されつつあるが、いまだに腎臓がないがしろにされている現実である事、それ故に腎臓について発信していく必要があるのだと日々思うからだ。
きっとしついこいと思われている事だろう。
実際、同クリニックに対して、同様の内容をトレーシングレポートで何度も提出している。
いい加減うざがられているのだろうなって思うけど・・・
それでも、腎臓の事を気に留めて頂きたいから。
何度もめげずに書いてたら、過去あまり腎機能についてはあまり気にされていなかったであろうドクターが、理解を示して下さったケースも実際にありましたし。
とある脳神経外科ドクターへの情報提供で、このnoteにも投稿した内容なんですが・・・
CKDG4患者さんへの腎排泄薬剤の投与量減量について、薬剤師としての立場で意見を書いた。ほぼ同じような内容を採血結果(別の内科クリニックでの)が出る度に情報提供を繰り返した。より効果を出したいドクターのお気持ちは理解できる。
だけど、薬による有害事象につながるかもしれないリスクを患者さんに負わせる事はしたくない。しかも今後さらなるCKD進行の可能性もあるわけで、薬の効果よりも副作用での転倒による脳出血や骨折リスクの方が高くなるのではと考えていた。結果、その腎排泄薬剤の増量を検討されていたドクターから「減量を検討します」と返答を頂いた。
で~
現在・・・結果的には投与量の増量はされていないが減量もされず・・・
だけど~
病状が進行している事、CKDステージ進行は無い事を鑑みると投与量維持というのは妥当と考えている。
少しでも、情報提供先の脳神経外科ドクターが腎機能を考慮して下さった事に関して、とても嬉しく思った。
あっ‼ またまた前置きが・・・
すみません。長くて~
今回の患者さんは、甲状腺疾患があり、境界型糖尿病である方。
ある日、片方の足指やふくらはぎ付近の違和感に始まって~
水疱出現したためすぐに皮膚科受診。
そうです!帯状疱疹と診断されて、バラシクロビル投与。
この患者さんのeGFR約50ml/min( 標準化)
バラシクロビル500mgはeGFR≧50のためとくに減量なし。
この場合の投与量は悩ましいが・・・
もしご高齢で活動量が少なく筋肉低下の可能性が高い患者さんなら、実際のeGFRはもっと低いはずなので減量提案をしていたが、筋肉低下はとくに問題ない方なので、腎血流が低下しないようにすればバラシクロビルによる腎後性AKIリスクは防げると考え、疑義はあえてしなかった。
ただし、水分摂取をこまめにして頂くようお伝えしていた。1500cc/日は必ず摂るように。
その後・・・ 帯状疱疹の悪化は無かったが、足指やふくらはぎなどのピリピリ感だけが残っているため、かかりつけクリニック受診。
その旨、かかりつけクリニック医師に伝えて、プレガバリン75mg1錠分1で処方となる。
eGFR約50ml/minなので、初期投与量は添付文書より75mg/日(クレアチニンクリアランス30~60ml/min 初期投与量75mg/日)
添付文書上からすると問題ない投与量。
なのだが、この患者さんは、以前から抗アレルギー薬が効きやすく通常の投与量だと眠気やだるさがすぐに出現するため、半量でちょうど良いくらいだった。そのことをふまえ用心すべきと考え、プレガバリン25mg3錠をお渡しし、まずは25mg1錠からの開始として頂いた。
その後毎日電話にて眠気などの確認をしたところ、眠前25mg1錠服用の翌朝は眠気やだるさは認めず。ピリピリ感は消失せず。
そのため、休日前夜は25mg2錠に増やして頂いたが、その翌朝起き上がれないほどのだるさが出現。そのため25mg1錠に戻して頂いて服薬継続して頂く事とし、その旨かかりつけ医にトレーシングレポートで情報提供。
やはり、添付文書通りの投与量でも副作用出現はありえるわけだ。
透析会誌2015や平田純生先生の講演より~
米国のリリカの腎機能別用量設定が我が国のリリカの添付文書の神経障害性疼痛の腎機能別用量設定と全く同じ事が原因かもしれない。
高齢者で体重の軽い症例で腎機能が低ければ低いほど添付文書よりさらに減量が必要。
CKDG1~G2とG3~G5の両群間でプレガバリンの有害事象発症率を比較したところ、G3~G5において有害事象発症率が有意に高かった。
って事で~
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