耳鼻科臨時処方と整形外科定期処方との併用による副作用疑いのためトレーシングレポートで情報提供した症例
脳梗塞の二次予防で近隣のクリニックに通院中の患者さん。
抗血小板薬、スタチン、降圧剤を継続中。
脊柱管狭窄症のため、とある大学病院の整形外科にも通院中。
下肢の痛みやしびれは続いている。OPも考えていらしたが、ご高齢である事なども鑑みて、ご本人の希望もあり、OPはしない方向・・・
現在、近隣のクリニックからの処方は~
クロビドグレル75mg アムロジピン5mg ビソプロロール5mg
プラバスタチン10mg
大学病院整形外科からの処方は~
トアラセット配合錠 リマプロスト5μg ノイロトロピン錠
トアラセット配合錠については、もともとは3錠分3だったが、便秘やふらつき、日中の眠気などの訴えがあり1年以上前から2錠分2に減量となり、1~2錠/日服用で継続中(大学病院整形外科の担当医師にも報告しており了承済み)
痛みは続いているものの、日中のふらつきや眠気、便秘の悪化もなく・・・
気になる副作用はこの数ヶ月は出現していなかった。
2次予防で抗血小板薬を継続しなければならないので、ふらついての転倒で頭部を打つリスクをとにかく最小限にしたい。
軽く壁に頭を打つ程度でも、硬膜下血種のリスクが高くなるわけだし・・・
夜間排尿も危険だという認識をしてもらうために、毎回必ず伺っている。
夜間排尿の回数が多いと、それだけ転倒のリスクも高くなると考えるから・・・
それ以外に~
夜間排尿回数が増えるって事は、日中の水分摂取が不足している可能性(血栓リスクも上昇)や、腎不全心不全の進行も考えらるし・・・前立腺肥大による可能性も考えられる。
でもって~
この患者さんが、急性副鼻腔炎で耳鼻科へ。
過去にも罹患しており、鼻症状や頭重感などが気になり耳鼻科へ。
レントゲンより、上顎洞や前頭洞?に膿が溜まっていた様子。
そのため、耳鼻科から
クラリスロマイシン200mg2錠分2 ロラタジン10mg1錠分1が処方された。
クラリスロマイシン200mgの服用経験はあり。
その際、ご本人の話ではとくに気になる症状は無かったとの事だったが・・・ ご本人の記憶が正しいのかどうか・・・
その時は、私が介入していなかったから~
わからないのだ!
やはり・・・ かかりつけ(薬剤師個人でなくてもかかりつけ薬局を患者さんが決めておく事)って重要な役割だなぁ~って改めて感じた瞬間。
ホントに、クラリスロマイシン200mgはくせもんだ!
なんせCYP3A4阻害率が0.88でしかもP糖蛋白阻害!
症例数は多いから使いやすいのだろうけど・・・
まぁ~ 患者さんの記憶に残って無い程度だから大丈夫かぁ~
と考えて、処方通り薬をお渡し。
ただ・・・
やはりトラマドールがCYP3A4基質でP糖蛋白基質でもあり、ロラタジンはP糖蛋白の基質である事が気になる。
なので、数日ごとにふらつきや眠気が出ていないか電話で確認する事にした。
そしたら~ ちょうど電話で確認する頃に患者さんが来局。
ご家族の処方箋も持参して頂いているので、たまたまそのタイミングの時だった。
やはり・・・ ふらつきが出てしまったとの事だったのだけど・・・
ロラタジンを間違って2回服用してしまった翌日の出来事だった。
ロラタジンは年齢や症状で適宜増減なので、倍量の2錠はとくに問題ない服用量だし、ロラタジンではふらつきが出る可能性としては低いように思うから、単純にロラタジンを多く服用したからとも思えず・・・
うーーーーーん
クラリスロマイシン200mgとトアラセット配合錠併用が原因である可能性を否定できない・・・
患者さんには、痛みの悪化がこのところ無いとの事なので、トアラセット配合錠を夜のみ1錠かいったん控えて様子をみて頂くようお伝えして~
やはり、これは耳鼻科に情報提供しておくべきだと考えトレーシングレポートを提出。
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