DAPT継続患者さんに処方されたNSAIDsによる出血リスクを鑑みトレーシングレポートにて中止提案した症例
今回の症例も実臨床ではよくあるケースなのかなぁと思って・・・
この患者さんはもともとお隣に通院されていたのだが、何を訴えても「歳だから・・・」ですまされて不安になり、こちらから転院を勧めた経緯がある方。
お隣は患者さんに家庭血圧を測らせないので、全く家庭血圧が不明。診察時血圧のみ。その診察時血圧もほとんどの患者さんが同じのなで、本当に信頼できる血圧かどうかわからないと思うほど・・・
それでも・・・
家庭血圧の重要性を理解してもらい、測ってほしかったが・・・上手くいかなかった。それは転院後も続いてしまった。
転院先の医師は家庭血圧を測るようおしゃっては下さったが、測って高かったら不安になるとの訴えで家庭血圧の測定を拒み続け・・・
家庭血圧を高いまま放置する事のほうが、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めてしまい怖いのだと説明しても、患者さんには届かなかった。
そのため、降圧剤の変更はないまま継続。採血も年に1~2回ほど。
ただ、心臓のことは心配なため、とある循環器での検査を年1回はされていた。
昨年の採血でL/H3.2と高値のためシンバスタチンがかかりつけクリニックより投与されたが、発疹出現のため中止となり、その後他剤への変更を検討されたが、ご本人の再び発疹出現するのではという不安があり抗コレステロール薬は投与されないまま・・・
それでも、昨年の循環器での検査(冠動脈CT・心電図・心エコーなど)では冠動脈狭窄の進展はとくに問題ない状態との事だった。
それから約1年後・・・
左冠動脈回旋枝90%狭窄でステント留置となりDAPT開始。
と同時にスタチンも開始となった。(スタチンはDAPTと一緒に循環器専門クリニックからの処方)
降圧剤はかかりつけクリニックからの処方のため、まずは家庭血圧を測定し血圧ノートに記載して検討してもらうことに。
やっと家庭血圧を測定してもらえる・・・ 家庭血圧測定してもらえるのに5年以上かかってしまった。
想像通りやはり高かった。起床時収縮期血圧が160mmHg超えていた。
そのため、かかりつけクリニックからの降圧剤も増量となり経過観察。
やはり・・・ 血圧管理は重要だと感じる。
もちろん血圧だけコントロールできても動脈硬化の進展を防げるわけではないが、家庭血圧測定は簡単にできるわけだから、まずは家庭血圧測定をもっと推奨すべきかと。
採血にしたって・・・
個人的には~高血圧患者さんの場合、動脈硬化リスクが高いわけだから年に3回はしてほしいと思ってる。
つい先日実際にあった症例だが・・・
たった半年で糖尿病になり、脂肪肝となってしまったのだ。
境界型ではあったから、ご本人には食生活のことなど注意していたのだけど・・・
この時期はコロナの影響で活動量が減り、ストレスから食事量が増えてしまったりなど、過去とは違うのかもしれないが・・・
半年の変化は大きいと改めて感じた症例だった。
だとすると、やはり3~4ヶ月おきには採血してほしいと思う。
とくに糖尿病境界型患者さんとか・・・
実際、境界型でも放置されてるケースもありますし・・・ 薬局の介入は重要だなぁと日々感じている。
自覚症状なんて、ずいぶん進展しないと無いのだから・・・
って~ ずいぶんと話がそれてしまいましたが・・・
このステント留置後のDAPT患者さんが、かかりつけに受診され、腰痛やひざ痛を訴えたためロキソニン60mgが処方。
DAPTにロキソニン併用となると消化管出血リスクが上昇するので、患者さんにはできるだけ控えて頂き、ご自宅にある湿布を使って頂くようお伝え。
その旨をこちらからかかりつけ医にもご報告すると説明し、トレーシングレポートにて情報提供することに。
この時に、消化管出血リスクが上昇するという根拠を示さないといけないので、HAS-BLEDスコアやHBR(日本版高出血リスク)を利用した。
HAS-BLEDスコアは抗凝固療法による出血リスク評価のために示されたもので、DAPTでの出血リスク評価は別にある(PARISスコアなど)が、NSAIDs併用について明記されてるものが見つからず、今回はHAS-BLEDスコアを利用した。NSAIDs併用により出血リスクが高くなるという事を伝えたかったからだ。
HAS-BLEDスコア(3点以上で出血しやすいハイリスク患者)から鑑みると、この患者さんは65歳以上でNSAIDs併用でかつ収縮期血圧160mmHg以上のため出血しやすいハイリスクの可能性が高いと考えた。
HBRからも同様だった。昨年の採血でeGFR63 のため虚血性心疾患後だとさらに低下の可能性あると考えると・・・
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