人生一番のモテ期は意外なところからやってきた
小学校から大学まで、ずーっと共学でした。友達も共学出身が多く、女子校に足を踏み入れたこともありません。そんな私が一度だけ、女子校気分を味わったことがあります。
中学時代、私は演劇部に入っていました。部員は30名くらいいたけれど、男子部員はたった一人でした(入部してきた勇気!)お芝居には当然、男性役も必要なので、女子が男役を演じることになります。
私は運よく、1年生のときから役をもらうことができました。初めてもらった役名だけはなぜか覚えていて、「カー吉」でした。車を乗り回している「威勢のいいヤツ(笑)」。舞台に出ていたのは30秒くらいだったけど、セリフもひとことありました。
初めてもらった役がたまたま男役で、周囲から好評だったこと、ショートヘアだったこと、声が比較的低いこと、こうした要素が重なって、私は男役ばかり演じるようになります。そして、3年生の文化祭で主役を演じて、部活を引退しました。
そこから予想もしていなかったことが起こり始めます。
ある日、突然雨が降ってきて、傘を持たずに濡れながら校庭を歩いていたら、見知らぬ女子生徒が「これ、使ってください!」と私に傘を押しつけ、走り去って行きました。
バレンタインデーには、自宅のポストにメッセージ付きチョコレートが入っていました。名前に見覚えがないけれど、同じ中学校の生徒のようです。
高校受験の前日には、自宅に「受験がんばってください!」と電話がかかってきました(昔は、自宅の住所と電話番号のリストが配布されていた)
私の勝手なイメージですが、こういうことは、女子校の中だけで起きるものだと思っていました(女子校出身の皆さん、違ってたらごめんなさい)。まさか共学で、しかも私に起きるなんて。なんだか、こそばゆいような、照れくさいような、不思議な気持ちでした。
友達いわく、「文化祭の劇を観て、ファンになったんだよ!」とのこと。私が演じたのは悩み多き青年で、そんなにかっこいい役でもなかったと思うのだけど、何が人の心に響くかわからないものですね。
後にも先にも、女子にモテたのはこのときだけです。人生一番のモテ期だったかも。
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