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ITベンダの開発プロジェクトでコアバリューを定義したらベロシティが上がった話

こんにちは、Naomichiです。今年は月1本記事を書くことを1つの目標にしています。ぜひフォローお願いします:)

今回は、本業で現在担当している開発プロジェクトにて、開発メンバ全員で”コアバリュー”を作って日頃意識し合うことで生産性が向上した(=ベロシティが上がった)という話をしたいと思います。
この話はシステム開発やITに閉じた話ではなく、一般的な”プロジェクト推進”において有用な手段だと思います。

私はNTTデータ入社5年目の社員で、入社から一貫してデータ活用の高度化に資するシステム・アプリケーションの開発を担当してきました。
いま現在メインで担当している、あるスマートフォンアプリの開発プロジェクトでは、開発手法として”アジャイル”を採用しており、社内にいるアジャイル有識者に入ってもらいながら、自分自身も初めてながら色々と試行錯誤する日々を送っています。

アジャイル開発の進め方やコツなどは巷に沢山情報がありますので、そちらを参考にして頂くとして、本noteでは試行錯誤した中でやってよかったことを”実体験ベース”でシェアしたいと思います。

・チームメンバの統率がとれず困っている
・チームメンバのプロジェクトに対するコミットメントに不満を持っている
・コアバリューって聞こえは良いけど、実際に効果あるのか懐疑的である
方にとっては、特に参考になるかと思います。

コアバリューは意思決定のよりどころ

コアバリューを一言でいうと、私はこう表現します。

アジャイル開発ではメンバの”自己組織化”が成功のカギであり、各自が状況を鑑みて意思決定して行動する主体性が求められます。
大部分の意思決定が本人に任されている以上、プロジェクトにおいて何が大事なのかを”全員が”同じ認識を持ち合わせる必要がありますが、これが思っている上に認識のズレがあるものと知りました。

よくアジャイル開発では、プロジェクトをスタートする際にインセプションデッキ※を使った情報整理・意識合わせを行うことが多いですが、実際に担当プロジェクトでもやってみると、同じ認識だと思っていたことでも人によって異なっていました。
※プロジェクト全体像(目的、背景、優先順位、方向性等)を整理するためのドキュメント。メンバ全員が同じ方向に意識を合わせる目的として、全員で10個ほどのフレーム(全部やる必要はない。必要なものをピックアップする。)に情報を整理して内容を合意する取り組みです。詳しくはこちら参照ください。

アジャイル開発に関わらずとも、取り組んでみることをお勧めします。

このインセプションデッキには含まれていないのですが、最近の”イケてる”スタートアップのWEBページを見ると、コアバリューが記載されていることが多いです。
One Teamになるためにはこうした共通言語があると良いのでは?と思い、何でもやってみる精神で担当プロジェクトでも定義してみることにしました。

スタートアップのWEBページを色々拝見したのですが、その中でも私が参考にした会社を3つご紹介します。

実際に参考にした会社のコアバリュー3選

・メルカリ 

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一番参考にした会社です。
AboutページTOPにミッションとバリューが記載されているのが印象的で、カルチャーを大事にしていることがよく分かります。
そしてこのバリューはアプリ開発にも当てはまる内容ですし、何よりシンプルなセンテンスなので共通言語となって日常会話に溶け込むのが良いと思いました。
また、3つという数(奇数)というのも、覚えられる範囲で丁度良いですね。

■メルカリのコアバリュー(Aboutページより引用)
Go Bold - 大胆にやろう
All for One - 全ては成功のために
Be a Pro - プロフェッショナルであれ

コアバリューの設定経緯については、mercan(ブログ)で触れられています。

メルカリの3つのバリューとワーディングへのこだわり」より引用

「スタートアップ組織としてありがちなのは、標語がひとり歩きしてしまうこと。結果的に経営とマネジャー、メンバーが違う方向を向いてしまう。メルカリは2度の経営合宿を経て、このミッションとバリューを設定しました。」
「かなり気にかけたのがワーディングです。共通言語にならないといけない。だから少なくて、短い。キャッチーかつ色んな場面で使えるのがポイントです。“メルカリのメンバーは誰と会っても言っていることにブレがない”。そうよく言われるのも3つのバリューが根付いているからだと思います。」(小泉)
「“それってGo Boldだっけ?”そんな会話が社内で自然と行き交うようになってくると、浸透している証拠。メルカリのSlackにはバリューのリアクションスタンプも用意されていて、よく使われています。」(石黒)


・グッドパッチ

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お馴染みのUIを専門にした会社で、土屋社長と同じbtraxで自分もインターンしていたので(勝手に)親近感があり、会社の動向をチェックしています。
こちらもメルカリと同じく1センテンスなので、メンバが日頃から言い合えるものになっています。数は5つ(奇数)です。
メルカリと比べると、グッドパッチが考える成功するための要因がより具体的に記されていると感じました。

■グッドパッチのコアバリュー(Aboutページより引用)
Inspire with Why - Whyが人を動かす
Go Beyond - 領域を超えよう
Play as a Team - 最高のチームのつくり手になる
Craft Details, Create Delight - こだわりと遊び心を持つ
Good Design Equals Good Business - 良いデザインを良いビジネスにする


・フォースタートアップス

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主にスタートアップ支援をしている会社です。
サイトによると、もともとのバリューは1つであったが、事業拡大によって3つに再定義したとのことです。
自分・仲間・顧客というそれぞれの対象に対して目指すべき姿が設定されているのは、切り口として参考になります。
また、〇〇 First(〇〇のために)という言い回しが自分的には良いなと感じました。
プロジェクトの価値や重きを端的に表すことができ、定義する際には使いたいと思いました。

■フォースタートアップスのコアバリュー(バリューより引用)
Startups First - 全ては日本の成長のために。スタートアップスのために。 ※スタートアップス=進化の中心にいることを選択する挑戦者達
Be a Talent - スタートアップスの最たる友人であり、パートナーであり、自らも最たる挑戦者たれ。そして、自らの生き様を社会に発信せよ。
The Team - 成長産業支援という業は、チームでしか成し得られない。仲間のプロデュースが、日本を、スタートアップスを熱くする。

以上から、コアバリュー作っていく上で、
・メンバ全員が日常的に言い合えるように1センテンスなものにする
・数は覚えられる範囲の3つにする
〇〇 firstで言い回しを揃える
という決まりを設けることにしました。

実際に全員でコアバリュー作ってみた

開発メンバを全員集めて、コアバリューを作ってみました。
まずはプロジェクトマネージャーから、改めてこのプロジェクトの目指す方向性と価値について話をしてもらいました。(いわゆるエレベーターピッチ)
内容について全員が理解した上で、意思決定のよりどころとしてコアバリューを作りたい今回の趣旨を話し、ホワイトボードに”重要にしたいこと”をディスカッションしながら書いていきました。

実際に書いたのがこちらです。
※プロジェクト固有名詞はモザイクかけてます

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ー価値あるプロダクトを作ることにフォーカスする
ー常に新しいことにチャレンジして成長する
ークイックに価値を生み出していく
ー何事もプロフェッショナルとして責任をもって取り組む
といった内容が出ました。

それをもとに、情報を整理して作ったコアバリューがこちらです。

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予め考えていた、
1センテンス・3つ・〇〇 firstでまとめました。

全員で作ったバリューは紙に印刷して壁に貼り付けることにしました。
日々の進捗会議(Daliy Scrum)では、単語を意識的に使うようにしました。

結果、メンバは意思決定の軸を持つことができた

作ったばかりで、まだ効果はこれからなところもあるのですが、実感としては開発スピードが上がりました
例えば、開発メンバと会話している際に「まだメンバ内でこのデザインパターンを取り入れたことはないがTry First精神でやってみよう」とか、「アプリで格となるこの機能の実装はAgile First 精神で早くリリースしてユーザーからフィードバックをもらおう。そのためにモブプロして開発スピード上げよう。」とか、会話にコアバリューを入れて話すようになりました。
チケットの消化具合も、以前のスプリントよりベロシティが上がって多く消化できるようになってきました。

また副次的な効果として、こういった取り組みが同じ部署の人らにも目に留まって話しかけてくれるようになり、部内での注目度が少し上がりました。取り組みに興味を持ってもらえれるとモチベーションも上がります。

コアバリュー設定で”やらされている”から”やっている”へ意識が変わる

私の考える最高のチームとは、全員が自ら想いをもって取り組んでいる状態を指します。
会社に属している以上、組織都合で自分の希望に沿わないプロジェクトにアサインされることも時にはあります。
仮に始めはそうだったとしても、プロジェクトメンバには”やらされている”のではなくて、やりがい・目標を見つけて自分がこうしたいという想いから「自ら”やっている”状態になってもらう」ことこそが、プロジェクト成功のカギだと思っていますし、自分の参画するプロジェクトは最高のチームにしたいです。

プロジェクトの価値をメンバ一人一人が理解・共感する手段として、コアバリューは有効と感じています。
ぜひ皆さんもコアバリューを取り入れてみてほしいです。




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