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『亡き父への想い。“なおみ”と言う名のベゴニア。』

NHKの『らんまん』が最終回を迎えた。

悲しいエンディングではなく
名もない新しい植物との出会いはまだまだ続く…
と言う未来を感じさせる最終回だった。

これまで妻のスエコさんと二人三脚。
家族に支えられ植物図鑑を作り上げた牧野さん。

『スエコザサ』。

新しく見つけた笹に
妻の名前を付けていた。

何より植物に人生を捧げた牧野さん。




そんな偉大な植物学者には及びもしないが、
私の父もベゴニアと言う植物に
生涯を捧げる生き方をまっとうした。

千葉大学の園芸学部を出て
誠文堂新光社で
『ガーデンライフ』と言う雑誌の編集長に。

その後、
ベゴニアの研究に没頭し、
世界中で新しい品種や珍しい品種を探した。

図鑑のベゴニアの欄は
ほとんど父が書いている、と言っても過言ではない。

今もなお、
ネット検索をすると父が作った
ベゴニアの本が出てくる。

晩年はベゴニアの研究をしながら
植物の専門学校で教鞭もとっていた。

『日本ベゴニア協会』なるものを作り
会長にもなった。

珍しいベゴニアを交配させて
新しい品種を作り
世界の花の博覧会で発表もした。

しかし。

父は…
牧野さんのように
家族をかえりみる人ではなかった。

仕事優先。
ほとんど家に居なかった。

一緒に行くはずのディズニーランド。
思い出の写真に父は居ない。




とは言え、
仕事をし始めた私に変化が訪れる。

ベゴニア一筋の父の背中が
人間として偉大に思えるようになったのだ。

人生で何か一つのことに全てを架ける生き方。

凄いな。
ただただ、そう思った。

そんな生き方は
なかなか出来ない。




話が逸れてしまった。

『スエコザサ』
牧野さんの奥さんの名がついた笹。

実は私の名前もベゴニアの品種に存在している。

イタリアの花の博覧会で、
父が発表した新種のベゴニア。

『なおみ』。
学名は『なおみあえ』らしい。




今朝、ドラマ『らんまん』を観ながら
牧野さんのスエコさんへの想いが
私の心に温かく広がった。

我が父も
そんな想いを持っていたのだろうか。

『なおみ君』
私をそう呼んだ父。
話をする時は、いつも距離を感じていた。

父と娘らしい時間もないまま、
父は逝ってしまった。

父の私への想い。
ドラマを観ながら
複雑な想いが交差して目頭が熱くなった。




亡き父。
植村猶行を偲んで。











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