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【マンガ】追悼 荻原征弥さん

 漫画家でイラストレーター、同人作家で、京都精華大学の講師もしていた
荻原征弥おぎわらまさみさんが亡くなった。
お亡くなりになったのは2024年1月8日で、1月30日付の青心社のX(旧Twitter)のツイートを、belneベルネさんが2月3日に引用ツイートしていたのを、2月4日に読んで初めて知った。

 私が同人誌を始めた1980年代の頃から知っていて、ずっと新刊や原画展を楽しみにしていた。blog「寄り道小路」X(旧Twitter)のアカウントを拝見していると、近年、精華大の講師も引退され、病気治療をなさっているようだった。
blogの記事やつぶやきに間が空いているのは、まあ、いつものことだけど、ちょっと心配……とか思っていたけれど、こんなに早くこんな知らせを聞くなんて思いもよらなかった。

 私は単なる一ファンで、即売会や原画展で何度か(年季が入っているので、回数的にはけっこうたくさん)お会いしただけだが、ちょっと想い出を綴ってみたい。

 この記事のために、荻原さんの本を書架から抜き出してきた。どちらかというと、とても寡作な人だとは思うけど、ここにあげた写真に収まらないほどたくさんあった。また、便せんとかのGOODSは1枚ずつ残しているはずだが、ファイルがすぐに見つからず探しきれていないのもあるし、使ってしまったものもある。


1980年代の接近遭遇

 1980年代は、学漫とかグループの同人誌が多く、オフセット印刷もカラー印刷もまだ高価な頃だった。
オフセットで個人誌を出す作家さんはまだまだ少なかった。
 そんな中で、初めて買った荻原さんの本はおそらくこれ、『SECOND VIEW』(1987年)。「SECOND」というからには「FIRST」もあっただろうけど、それは持っていない。それも荻原さんのお手紙が挟まれているので、どうも「ぱふ」の同人誌コーナーかなにかをみて、通販をしたみたいだ。
 でも、その頃、大阪の大友出版印刷の広告や価格表などの表紙で、何度もきれいなカラーイラストを見ていた。こんな美しい絵が人の手によるものなのかと思わず見入ってしまった。

「SECOND VIEW」
1990年代のものだが、大友出版印刷の価格表の冊子

とにかく変型本

 荻原さんが「FUKURO-KOUJI」という個人サークルを長年運営されている。
そこで出す本は、とにかく変型本が多かった! 
私の本棚で、荻原さんの部分だけよく棚崩れが起こって困った。
 小さな真四角の本や、縦長の本、可愛いリボンがついていたり、表紙の紙質がコルク紙やうすい段ボール紙だったり、帯やシールがついていたり、1冊1冊がとても手が込んでいる。
 内容は、マンガだったり、イラストストーリーだったり、エッセイマンガだったりといろいろだ。
 荻原さんのドラゴンは可愛いし(カッコいいのもある)、手書き文字はとても読みやすく、本当に手作り感があふれている。もちろんA5判のふつうサイズの本もある。

 1980年代あたりの初期の本を除いて、本はほぼあるはず……と思ったが、比較的最近のエッセイマンガ『寄り道小路』が1と3しかない。2巻目を漏らしたか……

変型本の数々
A5判のふつうサイズの本

商業出版デビュー

 昔、そうこう言ってるうちに、荻原さんがプロデビューした!
版元は、士郎正宗さんや山田章博さん、井上直久さんの本も出している大阪の青心社だ。

『天空祭』(1987年)
『竜剣伝説〈Ⅰ〉ヴァイルの剣』(1991年)
『竜剣伝説〈Ⅱ〉古き民の魔術師』(1991年) 
 ※奥付には「古き民」は、「カデュンルード」というフリガナが添えられている『竜剣伝説〈Ⅲ〉竜の娘』(1999年)

『天空祭』は1998年に改訂版も出ているが、そっちは持っていない。
『竜剣伝説』は第3巻の巻末に、『〈Ⅳ〉魔剣の王』という次刊予告があるのだが、ついに刊行されなかった。
また、同じ青心社から『ドラゴンファイヤー』というアンソロジー本が1巻(1987年)から9巻(1990年)出版されていた。その中に、マンガ、表紙、内表紙などちょっとずつ入っている。

青心社の本
青心社のアンソロジー本

グッズもいろいろ

 荻原さんはグッズもいろいろ創っていた。私のお買い物は主に本だったので、あまりグッズが手元にない。なんせ、買ってももったいなくてほとんど使えないから……
 いちばん多いのは便せんだった。便せんは1枚残して、他は使った。下敷きとクリアファイルも使ったな。どこにおいたっけ。メモ帳もちょっと使った。
他、使えなかったものは、ノートブックやカレンダー、ハンコはけっきょく一度も使わなかった。
絵はがきはペーパーに付いていた。通販のメッセージカードも麗しい。ドラゴンの缶バッジは、原画展の来場者プレゼント。

グッズや通販のカード

原画展に行ってきた

 荻原さんは関西の人だったので、何度か原画展に行ったことがある。
blogに2件記事を書いている。

「【居竜地】荻原征弥+ドウノヨシノブ」
  
2020年12月15日から20日まで 
  四条烏丸の京都精華大学のサテライトKaras  
  https://chaihana.cocolog-nifty.com/ch/2021/01/post-f1de0e.html

荻原征弥・BELNE原画展「幻想神話を描く」
  
2012年8月25日から9月23日まで 
  京都国際マンガミュージアム(以下、京都MM)
  https://chaihana.cocolog-nifty.com/ch/2012/09/belne-76ac.html

 blogに残しているのは2件だけだが、2012年の荻原征弥・BELNE原画展「幻想神話を描く」の記事の中に「お二人とも京都精華大学の先生なので、よくペアで原画展をされていて、近場の京都のギャラリーが多いので何度か行ったことがある」と書いている。たしか、京都MMの近くのギャラリーでも一度2人展をしていた。また、関西の即売会「そうさく畑」の中でも原画展をしていたと思う。

 印刷でも素晴らしく美しいけど、カラーインクの原画はもっとすごい。それもあまりサイズが大きくないので、その緻密さが度を超している。
原画展で拝見するときは、いつも厳選しているのか、枚数が少ないので、落ち着いたら、ぜひ、もっと広いところでもっとたくさんの原画展をしてほしいと切に望む。(できれば京都MMで)

合掌

 2010年代以降、大学のお仕事が忙しくなったのか、本の出版や即売会参加の頻度が少なくなったと思う。
 私は、2020年12月の【居留地】の原画展が、ご本人をみた最後だった。来場者は大学関係が主だったようだけど、ひと言ごあいさつをすると、「同人の人も来るかと思って、ちょっと持って来た」と言って、『寄り道小路 3』をいただいた。だから、この本だけはいただきものなのだ。

  想い出とともに、謹んでご冥福をお祈りします。合掌。

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