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ビッグな映画に出演できるよ、と甘い言葉に誘われ危うく大金をせしめられそうになった時のお話 〜オーディションへのお誘い編〜

これは、なんちゃって役者をしていた時の記録。役者を辞めた後、確かに何も残らない。残らなかったけれど貴重な経験を沢山させていただきました!出会った方達、経験、かけてもらった言葉達、全てに感謝を込めて。ちょっとアングラな世界へようこそ。

・・・とか偉そうに書きながら実際はへっぽこエピソードのオンパレードです。楽しんでいただければ本望です!

※実体験を元に書いておりますが、エンタメ性を高めるために事実よりも盛った内容になっております。

Here we go!!
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しがない、売れない、なんちゃってな役者をしている生活が、いよいよ5〜6年目くらいに入った時だった。芝居に対して段々と惰性になってきてしまっている自分を見て見ぬふりをしながら次の出演を決めなきゃだ、とオーディション掲示板を見ていたときに、エキストラ事務所所属募集というポストを見つけた。

普段であれば、「私は主役を張るような役者になる予定なのだから、エキストラなんてやるわけないじゃない」とマインドだけは一丁前に働くもんだから読み飛ばすのだが、その日は何でだかそのポストに目が止まった。これからはエキストラでも何でも、入っていけるところには入って、あわよくば顔だけでも誰かの目に焼き付けていかねば。四の五の言っている場合ではないな、そう思ったのだと思う。やっと焦り始めたのだ。

そこで、試しに応募してみる事にした。たとえダメでも、数千円もらって帰って来ればいいだけのことである。

その時はそう思っていたのだが、まさかあんな結果を招くとは・・・。

簡単な面接と業務説明があるとの事で、都心の主要駅の一つから歩いて15分ほどのところにある事務所へと出向いた。年季の入ったビルのワンフロアに、その事務所は設置されていた。

ビルの前に着いた途端から、決まった道順通りに進み、スタッフも手慣れたように自分の持ち場で決まった説明を繰り返し、まるでベルトコンベアーに乗せられた豚肉のように、私達応募者は次々と中に案内されていった。いや、豚肉はちょっと表現が生々しすぎるか。ダイヤモンドの原石のベルトコンベアという事にしとこう。せめて夢を見させてくれ。

日給額、現場でのルール、服装や髪型で気をつける点等を説明され、同意すれば契約書を交わし、個人情報登録や銀行口座情報登録に進む、と言った具合だった。

説明を全部受けた上で同意して契約書を書くとなった時に、他のプロダクションには所属しているか、芸能活動はしているのかと聞かれた。そこで私は正直に舞台で活動している旨を話した。

すると私に説明をしていた担当者が、少々お待ち下さい、と奥に引っ込んだ。そして背が高くて恰幅の良い男性が先ほどの担当者の席に座った。

「へえ、奈緒美さんっていうんですね。どちらの方?」
やはりその質問が飛んでくるか。カナダと日本人のハーフです、と生きてきてこの方20,000回は聞かれたであろう質問に答える。おめでとう、あなたは20,001回目の質問者です!と密かに思っていたのは知る由もないだろう。

その担当者はこう続けた。
「実はウチで、映画を撮影する企画が上がっていて、そのオーディションに参加してくれる方を募集しているんです。良かったらやってみませんか?

奈緒美さんの見た目と目の輝きがあれば、エキストラなんて勿体無い。ぜひ!」

なんていうもんだから、そんなに言うならば・・・、参加してやってもいいけどぉ・・・?くらいの斜に構えた態度をチラ見せしながら参加を承諾した。もちろん、褒められた事に舞い上がっていたのは言うまでもない。この業界は、特に下積み時代は褒めてもらえる機会は少ないのだ。少なくとも私は。

後日詳細を連絡します、との事でその日は帰った。そして、例の後日の日程が送られ、オーディション会場に向かう事になった。

これまた会場がとても変なところにあった。先日行った事務所と一緒の最寄駅ではあったのだが、場所は別なのだ。

「〇〇通りに教会があるので、そこの地下となります。担当者が外で待っているので、つきましたらお声掛けください。」とメールにあったので、言われた場所に行くと、真っピンクの頭をした18、9歳くらいの女の子がいた。まさかこんな、真っピンク頭の若造が担当者なわけ無いだろうと思い、自分の担当者像と一致する人物を迷える子羊のようにキョロキョロ探していると、これまた18歳前後かと思われる女の子が、オーディション参加で来たんですけれども・・・、とそのピンク頭に言っているではないか!ピンク頭もいそいそとバインダーを取り出して、はい、◾️◾️さんですね〜、こちらでお待ちください、と何とも気怠い感じで返事をしている。

面食らいながらも、私も参加者ですと言う旨を伝えてみると、私の名前がしっかりとそのバインダー内に記載されていた。ここら辺からちょっと気持ちがソワソワしてきた私。しかし、自分の存在を明かしてしまった以上、ここで引くわけにもいかない。

参加者は全員で男性2名、女性3名の計5名であった。全員揃ったということで、これから会場に案内します、と言うピンク頭さんの後をついていく私達。

そこは不思議な構造の建物で、教会に入るには上へと続く大きな階段を登っていくのだが、私達は大きな階段の横に申し訳程度に設置された外付けの非常階段のような鉄剥き出しの所を降りていった。会場への入り方が独特な事に不安を覚えながらも降りた所にあった扉を潜ると、こじんまりとした鏡張りのスタジオがあった。

奥に、少し小太りでスーツ姿の男性が座っていた。照明が薄暗い中にぽつんと座っているものだから、ホラー映画のワンシーンが浮かばざるを得ないのだ。

そこでその男性はゆっくりと喋り始めた。
「こんにちは。オーディションを開始いたします・・・。」

今日はここまで!!
オーディションの行方はいかに!!??
奈緒美は生きて帰ってこられるのか??!!

いや、まあ、この記事を投稿している時点で生きて帰ってきちゃあいるんですがね。笑

今日も良い1日を〜♪

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奈緒美フランセス
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