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松本まで。

久しぶりに映画館に出かけた。
水谷豊監督の、太陽とボレロを観たのだった。
地方のちいさな交響楽団が、資金難のために
活動ができなくなった。解散前の最後のコンサートを
開くまでの、楽団員たちの気持ちの葛藤を描いた
作品だった。松本を舞台に撮影された作品で、
見覚えのある女鳥羽川沿いの景色に、
見覚えがないけれどそそられる、
飲み屋の並ぶ小路が映しだされていた。
楽団員役の俳優さんは、実際に楽器を練習して、
大詰めの最後の場面では、世界的指揮者、
西本智実率いる交響楽団とボレロを奏でていた。
ほのぼのとした好い作品だった。先日その松本の
信毎メディアガーデンまで、山岳写真家の
三宅修、岳親子の写真展を観に出かけたのだった。
日曜日の夕方、仕事を早く終いにして、
特急しなのに揺られて行く。
駅前のホテルにチェックインをしたら、暑さの残る
夕方の町へ出て、焼き鳥の末喜商店におじゃまする。
先月はじめて来たときに、ご主人と店員さんの気持ちの好い
接客と、旨い焼き鳥に、すっかり惹かれたのだった。
この日もじきに満席になり、人気ぶりがうかがえた。
翌朝、大浴場で夕べの酔いを流して、松本駅前の蕎麦屋、
榑木野へ行く。朝の7時半から開店していて、
モーニングビールが安く飲める、ありがたい店だった。
アサヒの熟選を3杯飲んで、もりで締めたら、
通勤客とすれちがいながら、町をぶらぶら
散歩する。松本の町は空気が清々しく、
歩いていると気分がさっぱりとしてくる。
時間を見計らってメディアガーデンに行き、三宅さん親子の
雄大な山の景色を拝見した。今日の昼酒は、松本在住のかたが
勧めてくれた、蕎麦処のもときと決めていた。昼どきまでの間、
近くの松本城や開智小学校でも撮っていようと、
持参したカメラの電源を入れたら、ファインダーが
真っ白で何も見えない。
いぶかしんで、なんども電源を切ったり入れたりしても、
変わらぬままだった。買って5年、こわれてしまったのだった。
帰ったら山本カメラに直行だな・・・
へこんだ気分でもときの暖簾をくぐり、ひたし豆をつまみに、
久保田の千寿で我が身を慰めた。

烏城カメラこわれて撮れぬ夏。

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