若いかたがたと。
先日、馴染みの飲み屋に出かけたところ、カウンターに
先客がいた。初めて見掛ける女性だった。ジントニックを
飲みながら店のご主人とカウンター越しに話をしていたら、
その女性を紹介された。ご主人の自宅の近所に住んでいる
かたなのだった。
話をしているうちに、どういう流れか忘れたけれど、今度、
三人で蕎麦屋の昼酒をやりましょうと相成った。場所はこちらの
馴染みの蕎麦屋でということで。初対面のしょぼくれたおじさんと
昼間から酒に付き合ってくれるのだから、なんともありがたいこと
だった。
日を置いた当日、自宅からほど近い蕎麦屋の丸清におじゃまして
エビスを飲んでいたら、ほどなく女性もやって来た。
しばらくしたら店のご主人から電話がかかって来た。
すみません、前夜飲みすぎまして・・今日は二日酔いで行けません
とのお詫びだった。二日酔いになるほど飲めるのは若い証拠。
お大事にと伝えて、女性と差しつ差されつの昼間酒となった。
きのこおろしや天ぷらをつまみに延々と、大信州の辛口純米の
一合瓶を空にしていったのだった。お互いの仕事のことに、
好みの日本酒のこと、話をしながら杯を重ねた。初めて杯を
交わしているのに、こちらに余計な気遣いをさせることもなく、
まことに楽しい昼酒のひとときを過ごせたことだった。おまけに、
どれだけ飲んでも顔色ひとつ変わらずに、ひょうひょうとしていて
酒がつよい。
新蕎麦を食べてから、もう一軒別の店にはしごして、西之門の
純米吟醸二本で締めた。昨今の若者は日本酒を飲まなくなったと
耳にするから、こんな飲みっぷりの好いかたに出会うと、
なんだか嬉しくなってしまうのだった。
この歳になって、杯を交わすかたがたは年下のかたばかりとなって
いる。皆さんよほど懐が深いのか、だらしのないしょぼくれた
おじさんに、いやな顔もせず付き合ってくれる。
まことに感謝の至りだった。ただ困るのは、こちらは年相応に
体や内臓にガタが来ているのに、若いかたとの楽しい一献に、
同じペースで杯を重ねてしまうことだった。だいたい、
子供の頃から胃腸の弱い体質で、食べすぎ飲みすぎにやられた
ことが数多ある。
調子に乗って飲みすぎた翌朝は、決まって気だるい体で太田胃散の
世話になっている。いよいよ忘年会の時期となる。胃腸の衰えを
よくよく忘れずに、今年の締めの宴にかかりたいものだった。
だるいです連日連夜年忘れ。