上田の花火を。
仕事を終えた夕方、上田へ出かけた。駅を出て
甲田理髪店へ向かって歩いていたら、突然の夕立ちに
見舞われた。駆け足で店に飛び込んで、旦那さんに
タオルを借りて濡れた頭と体を拭かせてもらった。
散髪をして店を出るときにはすっかり止んで、日差しまで
出ていた。まったくこの頃は、こんな急な天気の
変わり具合の日が多いことだった。
そのまま、馴染みの飲み屋のかぎやへ向かい、馬刺しを
つまみに二階堂のロックをちびちびとやったのだった。
翌朝、上田市立美術館で開かれている「特撮のDNA」展に
足を運んだ。今年は映画「ゴジラ」が公開されてから
七十年になるという。昨年の「ゴジラ-1,0」まで、
これまで公開されてきた「ゴジラ」の特撮に使われた
スーツやモデルの展示をしているのだった。
上田の町を舞台に怪獣と対決するゴジラの様子も
展示されていて、上田のシンボル、別所線の赤い橋梁や、
上田の町並みが細かく再現されていた。夏休みということも
あって、会場にはたくさんの親子連れの姿があった。
美術館を出て、洋菓子のエトワールで菓子を買って、蕎麦屋の
東都庵に行く。いつもお世話様です。若女将に菓子を渡して、
黒ラベルと板わさを注文したら、ご好意の焼売と野沢菜も
出していただいた。ひっきりなしにお客がやってくる中、
ビールを開けて、地酒の和田龍登水を二杯。ゆっくりさせて
いただいて、もりで締めた。昼寝をして目覚めた夕方、
近所のコンビニで缶酎ハイを四本仕入れて、千曲川の河川敷に
出向いた。本日は上田花火大会。大勢の人が堤防道路に集まって
いる。開始間際にぽつぽつ雨が当たってきたものの、幸い本降り
にならずに、薄暮の空にどーんと今年の花火が上がった。
浴衣姿の女の子たちに、シートを引いて、みんなで手料理を
食べながら見上げている家族連れに、中学生や高校生の若い
カップルに、大輪が開くたびに歓声をあげている。
夏の花火は上田ひとつで満足だなあ。
上田の夏が一区切り。花火が終わるとそんな気持ちになっている。
氷結を四本空けて花火果て。