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日本酒のイベントに。

毎晩酒を飲んでいる。
ようやくこの夏のバカみたいな暑さが峠を越えて、
日中も涼しい風が吹き、朝晩の空気に冷気が
感じられるようになってきた。
湯豆腐で燗酒。そんな季節ですな。
そう思うだけで、今日の仕事をやめたくなるのだった。
平日の夕方、仕事を早仕舞いして長野駅前の
ホテルメトロポリタンへ出かけた。
長野県酒造組合主催の、日本酒の会が開かれたのだった。
これまで毎年秋になると開催されていた。
コロナ禍で中止の年がつづき、4年ぶりの開催と相成った。
長野県には東西南北、80社の酒蔵が点在している。
かつては、上等な味を醸すお蔵さんが少なかったものの、
世代交代をして、若い造り手さんが携わるようになってから、
旨い酒を醸すお蔵さんが増えてきたのだった。
この日は62蔵が参加していて、会場は酒徒のかたがたの
熱気に包まれている。
阿部長野県知事の乾杯を合図に、みなさんあちこちの
お蔵さんへと群がっていく。
ぜんぶのお蔵さんを回っていたら、とてもじゃないが
体がもたない。日頃付き合いのある、馴染みのお蔵さん
だけを回ることにした。
挨拶をして酒を注いでもらい、今年の酒米の出来具合や、
今期の造りに込める意気込みなんぞを聞いていると、
お蔵のかたがたも、久しぶりの酒の会の開催が嬉しいと
伝わってくる。そんな姿を見ていると、
ふだん馴染みの飲み屋で飲み慣れている銘柄も、
新鮮な味わいになるのだった。
兄弟で造りに取り組むお蔵さんに、ご夫婦で造りに
取り組むお蔵さん、病を患いながらもお蔵を守ろうと
頑張っているかた、飲みながら、みなさんの笑顔を拝見して
いたら、胸が温かくなった。
この頃はなんでもかんでも値上げで、暮らしに影響している。
お蔵さんも例にもれず、一升瓶も四合瓶も、ラベルの紙代も
値上げしているという。一升瓶に至っては一本50円の値上げ
という。聞かせてくれたお蔵さんの年間の生産量は5万本。
・・・250万円ですか・・
どこのお蔵さんも造りの規模は小さい。蔵人の数も
限られているから仕事の幅も限られる。
コロナ禍で出荷量が減った中、経費だけは膨らんで、
気苦労が絶えない。
そんな中、今期の酒造りが始まろうとしている。
どうか少しでも日本酒が売れますように。
願わずにはいられないのだった。

気苦労に思い巡らす新酒かな。








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