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天災に思う。

十年前の九月二十七日の昼どき、長野県木曽の御嶽山が
噴火をして、六十三人もの登山者が犠牲になった。
ついこの間のことのように記憶に残っているのに、
この十年、遺族はどんな思いで過ごされてきたのか。
五人のかたがまだ行方不明で、遺族は今でも山に登って
探している。ニュースで観るたびに切なくなってしまうの
だった。
全国のあちこちで大きな天災が起きるたびに、たくさんの
かたが犠牲になっている。
先日仙台へ旅行に出かけた。繁華街のきらびやかなアーケード
を歩いていると、あの大きな震災から好く復興したなあと、
あらためて感慨にふけってしまった。地元のかたがたの
並々ならぬ努力がうかがえて、頭を下げたい気落ちになった。
宮城では東日本大震災以後もたびたび地震が起きている。
もう大きな被害が出ぬように、震災の地に身を置いて願った
ことだった。
辰の年の始まりに、石川の能登で巨大な竜があばれた。
あちこちに大きな被害が出て、町が目も当てられない
有り様になってしまった。犠牲者も出て、まだその傷も
癒えぬさなか、この秋に今度は激しい雨に襲われたの
だった。あちこちで土砂崩れが起きて家屋がつぶされた。
町に水があふれ家屋が流され、またしても犠牲者が出て
しまった。地震の復旧が速やかに進まぬところへ、さらなる
追い打ちをかける様子に、地元のかたの心情を思うと
やりきれなくなるのだった。
十月に北陸へ旅行に行く予定を立てていた。電車の切符を買って、
ホテルも予約して準備万端、楽しみにしていた。
その矢先の水害だった。滞在は二泊で、一泊目は能登の玄関口、
七尾に滞在して、二泊目は金沢に行く予定だった。
能登に再び大きな被害が出ているさなか、のんきに観光に出かけ
てよいものか、テレビで被災地の様子を観ながら躊躇してしまった。
そんな話を友だちにしたら、足を運んで少しでもお金を落として
来るのも応援になるよと言われ、そうだよなあ、まことに微力ながら
お役に立ちたいよなあ。十月上旬、七尾の海を眺めに行くと決めた。

秋山の追悼の日や十年に。


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