リボルバー・リリーを観て。
久しぶりに映画館へ出かけた。
綾瀬はるか主演のリボルバー・リリーを
観たのだった。。
ときは大正時代。関東大震災後の東京が舞台だった。
かつて凄腕の殺し屋として、五十人以上の人を殺していた
小曾根百合。
殺しから手を引いて、娼家の主人として暮らしていた
ところ、陸軍に追われている少年、細見慎太を助けた
ことで、陸軍と戦う羽目になる。
追手から逃れ、撃ち合いをして、陸軍と対峙する海軍の
もとへと慎太を送り届けるという物語だった。
映画を観たあとに、長浦京さん原作の文庫本を買ったら、
640ページに及ぶ長編だった。
原作を読み終えてから、あらためて観にでかけた。
これだけの長編を二時間ちょっとの上映時間に収めるの
だから、原作から省いてある場面が多く、話の内容も
ところどころ変えてあった。それでも物語の拵えが好く、
楽しく拝見できたのだった。綾瀬はるかの銃を撃つ姿が、
凛ときれいだった。
仲間役のシシド・カフカと古川琴音が着物で銃を撃つ
姿もかっこいい。長谷川博巳に豊川悦司に石橋蓮司、
橋爪功に佐藤二朗に野村萬斎など、渋いかたがたが
脇をかためていた。
敵を銃撃戦でつぎつぎと倒したり、手りゅう弾で
ふっとばしたり、戦闘シーンはなかなかの迫力だった。
ところが原作のほうは、さらに輪をかけて過激だった。
慎太の家族が順番に刺殺されたり、激しい銃撃戦や
殴り合いの様子が生々しく、読みすすんでいくと、
綾瀬はるか、きれいだねえの甘い気分がふっとんで
しまった。
映画では、慎太は大人しい子供の印象なのに、原作では、
敵を銃で撃ち殺したり、奪った銃剣で突き殺したり、
なかなか勇ましい。原作に忠実に映画を作ったら、
観ている途中で具合の悪くなる人や卒倒しちゃう人が
出るかもしれない。少年犯罪の増加につながると、
文科省や全国の教育委員会から非難が出るのが必至
だなあ。
映画では、まだ江戸の風情を残す大正時代の東京の
町なみが再現されていた。
原作でも、町の様子や人々の暮らしぶりが事細かに
書かれていて、当時の時間の流れが伝わって来た。
その頃の東京どんなものだったか
足を運んでみたくなった。
銃弾は残り六発雨の月。