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坂城のワインを。

長野市から20キロほど南東に埴科郡坂城町が在る。
国道18号線をはさんで、千曲川沿いに地元の工場が並び、
山沿いに田畑が広がっている。
小さいながら、農工産業の盛んな町なのだった。
4年前に、長野市の駅前でイタリアンの店を
営むかたが、御実家の在るこの町に、ワイナリーを開設した。
その名も、坂城葡萄酒醸造株式会社。渋くて好い。
その折りに、微力ですがと、会員に応募させていただいた。
会員の特典として、翌年から、赤白のワインが一本ずつと、
長野駅前と、ワイナリーに併設されたレストランで使える
二千円のチケットが5枚、五年間頂けることとなった。
まことに御好意にあふれた特典だった。
先日、今年の分のワインとチケットが届いた。
添えられた手紙には、2021年は春先の長雨のせいで、
白ブドウの収穫減が激しく、このたびは白ワインを
お贈りできないとあり、代わりに初リリースの
カベルネフランの赤ワインとりんごのシードルが
同胞されていた。
坂城町はもともと葡萄の栽培が盛んな町で、かつては
巨峰という銘柄が、全国で生産量がいちばんだった
覚えがある。
最近は、シャインマスカットとナガノパープルという
高級品種の栽培が盛んで、伴って、ワイン用の葡萄の
栽培も、ワイナリーの関係者のかたを中心に行われている。
この夏、3年前に送られてきた2018年産の赤ワインの
封を切った。
セブンイレブンの金のハンバーグをつまみに利いてみれば、
カベルネソーヴィニヨンとメルローの味わいは、
重すぎないしなやかな味わいと、後口の苦みの塩梅が好く、
適度な熟成感が心地よかった。
日を置いた先日、昨年頂いた二千円のチケットの期限が
8月で切れるので、長野駅前のレストランに出かけた。
チーズの盛り合わせをつまみに、長野県産の白を一杯に
赤を二杯。
久しぶりに、坂城町のレストランにも出かけたくなった。
長野は、いつの間にやら、ちいさなワイナリーや
クラフトビールの醸造所が増えて、日本酒も旨い銘柄が
増えた。酒徒の身には、実にありがたいことなのだった。

初めてのカベルネフラン夏の果て。

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