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臥竜公園の桜を。

平日の夕方、仕事を早めに終いにして須坂へ出かけた。
臥竜公園の桜が見頃を迎えているのだった。
車窓の、住宅街や河川敷の桜を眺めながら、電車に
揺られて行く。
須坂駅を出て坂道を上がって行くと、
須坂高校の玄関先に、
令和5年 須坂高校は百周年を迎えます。
大きな垂れ幕がぶら下がっている。
小山小学校の校庭の桜を見上げながら公園に
着くと、花見客がわんさかしていた。
竜ヶ池を囲む桜は、今週いっぱいが見頃の咲きっぷりで、
ほんとに桜の足取りの早い春なのだった。
この時期、池のまわりに、ずらっとおでん屋が開店する。
ふらっと入って、スーパードライを飲みながら、
味の染みたおでんをほおばった。
薄暮の公園に灯りがついて、桜がぼおっと浮かび上がる。
西の空に陽が沈み、東の空に丸い月が顔をだす。
そぞろ歩きながら、スマホやカメラで桜を撮ったり、
桜をバックに自撮りをしたり、みんな満開の桜を
楽しんでいた。公園を出て坂道を下って駅前へ
行くと、電車の時間まで間がある。辺りを見回すと、
焼き鳥とり松の看板が目についた。
時間つぶしに暖簾をくぐったら、中年の女将さんが
迎えてくれた。
カウンターの端っこで、皮とぼんじりとキムチで、
スーパードライを飲んでいると、先客の
カウンターの女性二人は、もういい感じに
出来上がっている。焼酎のお湯割りを飲みながら、
職場の同僚の悪口で盛り上がっていた。
しばらくすると男性二人と女性一人の三人連れが
入ってきて、奥の小上がりに陣取った。
座るなり、男性が女性に花束を手渡したから、
送別会かなとうかがえた。
間をおいて、女将さんの友だちがやって来て、
カウンターで、焼き鳥をつまみにライムサワーを
飲みだした。その後じきに、小学生ぐらいの子供を連れた
親子四人が入ってきた。女将さん、忙しくなってきたねと
眺めていたら、奥の部屋から女将さんの息子が
出てきて、お母さんを手伝い始めた。高校生ぐらいかな。
焼き鳥を運んだり生ビールを注いだり、もくもくと
手伝っている。カウンター越しにキープされたボトルの数を
見れば、まだ開店して日が浅いとうかがえた。
たまには知らない店の片すみで、黙って酒を酌むのも
好いのだった。レモンサワー二杯飲み干して、
頃合い好く桜詣での締めとした。

夜桜や寡婦が寄り添い来るような。



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