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信州の酒を。

毎晩日本酒を酌んでいる。秋の風が冷たくなってきて、
今年も鍋で燗酒の季節となったのだった。
近ごろは地元信州の酒も旨い銘柄が増えて喜ばしいこと
だった。信州には、現在七十余りのお蔵さんが造りを
行っている。酒を造るだけでなく、日本酒のイベントも
一年を通じて開かれているのだった。
新酒や秋酒のころに、あちこちのお蔵さんが蔵開きをして、
一般の皆さんに酒をふるまったり、地酒に力を入れている
酒屋が、お蔵さんを招いて酒の会を開いたり、いくつかの
お蔵さんが集まって酒の会を開いたり、がんばって日本酒の
普及に励んでいる。長野県酒造組合が、毎年秋になると
長野駅前のホテルで、信州のお蔵さんを一堂に集めて酒の会を
開いている。この頃は、東京や大阪や札幌にも足を延ばして
会を開き、県外のかたにも宣伝しているのだった。
その長野県酒造組合のイベント、YOMOYAMA NAGANOが
この秋も開かれた。
夕方、仕事を早仕舞いして会場のホテルへ向かうと、酔客の
老若男女たちがぞろぞろと会場へ向かっている。受付を済ませて
早速酒を利いていく。それぞれのお蔵さんのブースがずらっと
並ぶ様は、眺めているだけでよだれが出そうになる。
そうは言っても、六十余りのブースを全部回っていたら
酔っ払って家路にたどり着けない。顔見知りのお蔵さんだけを
回って行った。
北光正宗、豊賀、幻舞、五岳、和田龍、亀齢、亀の海、月吉野、
北信流、十六代九朗右衛門、積善、本老いの松、互、勢正宗、
久しぶりにお会いするお蔵さんのかたがたは、みんな元気な
笑顔で迎えてくれて嬉しい。
勝手知ったる味だけど、こうして造り手本人と言葉を交わしながら
利く味は格別のものだった。
身の回りでは日本酒を好む若者が増えている感じがするけれど、
まだまだ需要は厳しいと聞く。こうして会場を埋めている酔っ払い
のかたがたが、足繁く飲み屋と酒屋に行って、おおいに日本酒の
杯を重ねてくれればと願ってしまうのだった。
そろそろ今期の造りの季節になる。お蔵さんの皆さんが、無事の
造りに入れますように。

利酒や個々のお蔵の旨さかな。



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