シネマの記憶007 奇妙な時間
もう10年ほど前になる。どこの映画館で観たのか忘れてしまったのだが(渋谷Bunkamuraだったかな?)、ノルウェイ映画「ホルテンさんのはじめての冒険」を観ているあいだ、ずっと奇妙な感覚に包まれていた。だからといってイヤな感覚というわけではなかった。 ベテラン運転士ホルテンさん(ボード・オーベ)、アパートで一人暮らし。お弁当と飲み物を用意し、鳥カゴに覆いをかけて仕事場に向かうシーンから、この物語は始まる。電車に乗り込んで、やおらパイプに火を付けて出発。おそらく十年一日のごと