よくばり近畿の旅⑤京都・東寺と京都水族館のオオサンショウウオ
「京都」駅に到着したのは夕方に差し掛かる時分で、巨大ターミナル駅として整った駅舎のガラス面に夕陽が鮮やかに映り込む、そんな頃あいでした。
朝は奈良の吉野から始まり、JRに乗り宇治、醍醐と世界遺産をめぐってきましたが、そろそろ各所の門が閉ざされる時刻。
駆け込みで近郊のスポットに滑り込むことになりました。
ざっと地図をながめただけでも、訪れたい候補がずらっと出てくるなか、
"ちゃんとベタなところ"のコンセプトに忠実に、選んだのは"東寺"。
近鉄線に乗り換えて1駅、そのまま「東寺」駅が最寄り駅です。
"東寺"と言うからには、かつて"西寺"もあったはずですが、平安後期〜鎌倉期には既に廃れて、その後再興されなかったようです。
平安京では正門となる「羅城門」を「東寺」と「西寺」で挟み、初期はこの官寺2寺以外には寺院建設は禁止されていたそうですが、
「羅城門」も「西寺」も現在では跡形も無く、ただ石碑があるのみ。
この"東寺"だけ現代まで残ったのも不思議ではあるのですが、そこはやはり仏教界のスーパースター「空海」が関わっているからでしょうか。
四国で生まれた「空海」は、平城京→平安京での修行時代を経て、無名だったにも関わらず31歳のときに遣唐使船で大陸に渡り、密教を極めることになりますが、一緒に渡った日本人や現地の僧たちも押しのけて奥義を伝授されたとされます。
大天才です。
2年経って帰国した後は真言宗を開いて、日本仏教をより複雑に、ミステリアスに、アングラな世界観へと導いていったわけですが、興味深いことにどういうわけか全国に「弘法大師伝説」を残していて、全国区で"超人"ぶりを発揮しています。
帰国後はここ"東寺"と"高野山"を下賜されて、近畿を中心に活動していたはずですが、もしかしたら
驚異的な健脚で全国を行き来したり、あるいは念力を飛ばして法力を施していたり、したのかもしれません。
とにかく"超人エピソード"の多い人物なので、そういった想像をするだけでも、楽しませてくれます。
そもそも、まだ死亡したわけではなく、現在もなお高野山で祈り続けている。という話もあるくらいで、超・スピリチュアルな仏教の世界が垣間見えます。
奈良を出発して京都へ。
京都では、宇治の平等院、宇治上神社から醍醐寺、東寺とめぐってきましたが、奈良と比べると京都の仏教施設のほうがどこか"スッとしてる"感じがするんですね。
"シュッとしてる"でも良いんですが、洗練というか、おすましというか。
奈良では、
"パワー!パッション!!"
という圧を受け取りましたが、京都の寺たちからは"落ち着き"を感じます。
ちなみに、東京の寺々からは"効率"とか"機能性"を感じ取れるので、都市の個性に対して僕が持っていた歴史的なイメージが「やっぱりそうなんだ〜」と後押しされたような形になりました。
こうした「感覚の発見」がとても楽しくて、自然とニコニコになりますね。
自分にしか分からないので自己満足にすぎませんが、それも良し。
ニコニコではなくニヤニヤして不審がられるかもしれませんが、もはやそれも良し。
旅は素敵な自己満足を与えてくれます。
さて、東寺を出てまっすぐ大宮通りを北上して、本日最後の目的地へ着きました。
東寺からは徒歩で約15分。
梅小路公園という綺麗な公園内にある、「京都水族館」です。
水族館、好きなんです。
「全国各地の水族館に行きたい。」と常々思っています。これは、寄るしかないですね。
Happy Aquarium!
京都水族館は、東京スカイツリー内の「すみだ水族館」と同じ運営会社なんですね。
そう言われてみれば、たしかにデザインに似たところが。おしゃれです。
国の特別天然記念物に指定されている「オオサンショウウオ」がたくさん展示されているのがここの特徴です。
入館したら、いきなり迫力ある彼らが目に飛び込んできますので、インパクトのある配置になっています。
まず、でかい。
最大150cm近くまで育つこともあるそうです。
そして、多い。
単独、とか2-3体、とかではなく、オオサンショウウオの群れ!
という感じです。
まあ、たしかに、すこーしキモイんですけど、見慣れてくると、カワイイんですよね。
"キモカワ"日本代表なのかな。
外来種に生息域を脅かされていたり、交雑がすすんでいたりしているなか、保全活動に力を入れているものの、なかなか難しいようです。
絶滅危惧種指定もされていますが、活動を応援したいですね。
ちなみに「京都水族館」では、在来種も外来種も交雑種も展示されていますが、それぞれを見分けるのは、ぼくには至難の業でした!
オオサンショウウオたちとお別れして、京都駅へ向かいます。
「京都っぽい食事がしたいな〜。」と漠然と思っていたので、「駅ビルなら何かしらあるはず。」という思惑でした。
歩いているうちにどんどん日は落ちていき、反対にキラキラと明かりが灯されていく京都駅。
近未来感のある"古都"の駅です。
食事のほうの狙いは的中で、京都駅ビル11Fに京とうふのお店を見つけました。
京とうふ!京都っぽい!
「京豆富 不二乃」では、京とうふを使った創作料理の数々を堪能できます。
豆腐大好きなぼくにとっては大満足の夜となりました。
満腹の体をベッドに放り投げるとすぐにでも眠りに落ちそうなところですが、そこをなんとか堪えて、シャワーを浴びると目が冴えちゃう、みたいな旅行ハイ。
なかなか寝付けない"京都初日"の夜ですが、明日も早い。がんばって寝ます。
ちなみに、オオサンショウウオは夜行性なので、夜は活発に動くそうですよ。
丸山直己