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近隣コミュニティに貢献しようとする私のご近所さん
こんにちは!先日、自宅のポストにこんなお手紙が投函されていました。
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オランダ語で書かれたこのお手紙ですが裏面には英語バージョンも。一体何が書かれているのか、そして私がこのご近所さんのお手紙にたいそう感動したということについて書きたいと思います。
「うちでご近所パーティーをしませんか?」
この手紙を要約するとこうです。
アムステルダムから引っ越してきたこのファミリーは、近隣住民がお互いをより知るためのパーティーを開催するとのこと。その理由は、
・もっとお互いを頼り、助け合うことを気軽にしたいから
・お互いをより知り合うことができれば、近隣を歩くのも気楽になるから
・物を借りたり、あげたり…みたいな関係を近所で築けると安心を感じられるから
・お互いを知ることができると子どもたちが安心して遊んだり、関わったりできるから
おおよそこんな感じです。そして、この家族は自分の自宅(&庭)を開放して、ご近所さんと知り合える場所を提供するつもりだと書いています。日時、場所、そして心ばかりの食べ物、そして私たちのストリート名にちなんだコスチューム。笑 を着てきてくれたらもっと楽しいかも?とのこと。
携帯の連絡先も書かれたこの紙は、どこからどこまでに配布されたのかわかりませんが、少なくともこの家族の近所に住む私たちの家には投函されていたのでした。
人との繋がりが希薄になってきたことで生まれる社会課題
私がフードバンクのボランティアを始めたのは、オランダの若き歴史家であるルトガー・ブレグマンの著書、「希望の歴史」を読んでからのことでした。この本は、私の知人であり私が尊敬するオランダ人の女性が教えてくれた本です。彼女もまた、社会課題に取り組むプロジェクトの中で仕事をしています。
ボランティア活動をする中で度々直面する社会課題の中に「人々の孤独」というものがあります。フードバンクの1つの重要な役割は「食べ物を渡す」という活動の中で生じるボランティアと利用者との間に生まれるコミュニケーションにあります。食べ物を渡すだけであれば、今時自宅にそれを届ければ良いはずですが、フードバンクに足を運んで食料を自分で選び、ボランティアとのやり取りの中で得る接点にも価値を置いているのです。
私たちボランティアは利用者に対して「お元気ですか?」という声かけから生まれるコミュニケーションを誘発するようにしています。「腰が痛い」とか「こんなことに困っている」というような声を拾い上げながら、時に適切な支援に繋げることもあります。
フードバンクが所在している建物はコミュニティセンターとしての役割を担っているため、その日のプログラムに応じて利用者がやってきます。私がいる木曜日には「老人のためのランチ会」が開催されていて、軽いフィットネスの後にご老人たちがランチを食べている姿をよく見かけます。それは彼ら/彼女たちに人と集う場所を提供し、孤独になることを防ぐためでもあります。
私たちが孤独を感じやすい社会になったのには、宗教的なコミュニティの希薄化、核家族化、仕事の多様化によって別の場所へ移動して生活する人たちが増加したこと、など数々の理由が挙げられます。実際に人と会ってコミュニケーションをとることが好きなオランダの人たちでさえ、やはり現代社会で孤独を感じている割合は増えていると言われています。
どうやってコミュニティを形成していくか
私の関心は教育にもあるのですが、最近では自分がどのようにコミュニティに貢献できるかということを考えています。オランダという外国の地で、国籍やバックグラウンドを問わずに集まれるような企画や構想を考えたいという気持ちが増してきています。
そんな中で投函された「招待状」は、まさに私が求めていたものでした。だからこそ、とても感動したのかもしれません。
アムステルダムから引っ越してきたこのファミリーは、自分たちが「よそから来た人間」だからこそ、近所のコミュニティに溶け込みたいと願い、そのきっかけとして自分たちの自宅を開放するという機会を設けようとしています。
「残念ながら参加できない」に代わるものを…
歓喜するほど素敵な企画だと思った私ですが、残念ながらその日には先約があり参加することができません。
「こんなに素敵な企画なのに!!!!!!」と悔しさを感じた私ですが、何とかこの勇気あるあたたかい人たちに私の「ありがとう」を表現したいと思いました。
ちなみに、このご家族のお家は1階にあるのですが、窓にはカーテンさえつけず、いつも家の横を通ると家が丸見えです。笑 それもまた私は好きで、「敢えて自分たちからオープンにする」という強靭な強さを感じます。私たちはこうやって「自分たちから開示する」という行為から社会を良くできるという意思の表れにも感じます。
色々と考えた結果、私たちは少しでもこのパーティーの足しになれば…ということで、スーパーの商品カードをプレゼントすることにしました。たった€10ですが「感謝の気持ち」を適切に表現することで「自分たちのアクションに賛同する人たちがいる」ということを感じて欲しいと思ったのです。
…ということで、先週娘と一緒に商品カードを届けにいくと、わざわざ家族全員で出てきてくれて、とても喜んでくれました。「近隣の人たちはとてもポジティブな反応を見せてくれていることが多くて、企画して良かったと思っているんです!」と笑顔で言ってくれた彼らの表情に、私も嬉しくなりました。「次にある時は必ず出席したいと思うので、これに懲りず次回もまた企画して欲しいです。私も手伝えることがあれば喜んでお手伝いします」と言うと、「それはとても嬉しいです。是非、やる方向で考えますね!」と言ってくれました。
「あったらいいな」をかたちにする人たち
ということで、私は彼らのような「あったらいいな」をかたちにしようとする人たちの行動を心から尊敬しています。誰もが「あるといいな」までは心の中で考えますが、実際にそれを行動に移す人たちはごく僅かかもしれません。しかもそれが、何の利益も上げない場合には「特に」です。
私は彼らの行動からとても勇気をもらったと感じています。そして、自分なりにその「想い」を届けられたことにも喜びを感じました。次会った時は、パーティーがどんな様子だったか、何が彼らをその行動に導いたのか、色々話が聞けるといいなと思っています。
そして、私も自分のできる範囲で異国の地のコミュニティに貢献できる方法を探し、それを行動に移していきたいと思っています。
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![🇳🇱三島菜央<現地小学校TA/ET|元高等学校教諭>](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93184515/profile_3f6db3e537c4f6c3f63e3cf40a5108e7.png?width=600&crop=1:1,smart)