オランダのセックスライフが面白い(1)
こんにちは!2024年の挨拶…に続いて2つ目の投稿です!
…がいきなりこんなタイトルかい!と思われた方、申し訳ありません。笑
でも、今回もめちゃくちゃ真面目な記事です。
前回の記事にも書きましたが、年末年始はゆーーーっくり過ごすことができた私たち。その中でも良かったなと感じるのが、とにかくゆっくりと過ごす時間の中で、パートナーの義則と思う存分対話できたことでした。
パートナーシップ観を見直すきっかけの時間
学校が休暇に入ってから、そして新しい年を迎えてから、義則の仕事も完全にオフになり、ゆったりと過ごす時間が約2週間たっぷりありました。
「2023年、どんな1年やった?」
「何が楽しかった?」
「こんなことあったね〜、あんなこともあったわ〜」
「何か新しくやりたいこととかあるん?」
そんな他愛もない話を時間も気にせず、浮かんでくるままランダムにすることができたのは、ひとえに2人とも忙しさから解放され、目の前のパートナーと向き合う「ゆとりと時間」が持てたからかもしれません。
そんな中、対話は性生活についても。私の周囲や、娘の小学校の保護者には仲良さげなパートナーたちがたくさんいるし(逆に合わないようになると別れる選択をするという意味でもありますが)、彼ら彼女らと性生活の話に触れたこともあります。
私の周囲のオランダ人に限っては、
「性生活に不満があれば、ちゃんと話し合う」
というのが、基本的なスタンスであることは間違いなく、私たちもパートナーシップ観のアップデートとして、性生活についても忌憚なく話合いました。その中で出てきたのが、
「オランダの人たち(独身でも既婚者でも)、特に子を持つ親世代ってどれくらいの頻度でセックスしてるんかなぁ?」というもの。
…すると、予想外にとても興味深い記事に辿り着いたのでした。
オランダでは25歳以下の人たちに比べて、75歳以上の人たちの方が頻繁にセックスをしている
おおよそ1年前の記事にはなりますが、何とも衝撃的な記事!
信憑性はどうなの?と思いきや、オランダに住んで統計関係のことを調べたことがある人なら一度は聞いたことはあるであろう「オランダ統計局(CBS)」の調べに基づいたものでした(私も何度かCBSの回答に協力したことがあります)。
見出しはこんな感じ。
75歳以上の人々のセックスの頻度は増えているのに対して、全体的にはセックスの頻度は減少しているとのこと。特に若者(16歳から25歳)の間において顕著なのだそうです。記事によると、この時の調査では16歳から25歳の人々の70%が「過去1年の間にセックスをした」と回答しているそうですが、2014年には74%だったとのこと。"わずかな"減少ではありますが、若者に何が起きているのか?ちなみに、パートナーと同棲している人たちは、1人暮らしの人たちよりもセックスの頻度が高いとか。うん、それは納得できるぞ。
若者を襲う「完璧」のプレッシャー
セクシャリティの研究をしているというHanneke de Graaf氏の回答によると、若者は社会の中で大きなプレッシャーを感じているのではないかということでした。SNSの世界で生きている若者にとっては、自分の失敗が公になるのではないかという怖さがあり、より慎重になっている可能性があるのだとか。
私たちよりも(生まれた時から)はるかにたくさんの情報に触れている彼らにとっては「自分の失敗」への考え方が私たちとは異なるのかもなと思いました。
「もし、相手を満足させられなかったら?」
「自分の失敗を誰かに話すような相手だったら?」
「それが次から次へとオンライン上で広がる可能性は?」
そんな考えが頭のなかをぐるぐるするようであれば「やらない方がまし」と思ってしまうかもしれません。うーん、なんとも悩ましい…
75歳以下におけるセックスの頻度の減少の原因?
ただ、セックスの頻度の減少が顕著なのは16歳から25歳の若者だけではなく、(75歳以上を除く)他の世代においても減少気味であることが言及されています。
ワークシェアリングが盛んなオランダでも、労働時間が長い人たちだっています。そういったいわゆる"働き盛り"の人たちにとって、パートナー同士が満たされるような"セックスライフ"を維持することは難しいことなのだとわかります。多忙は色んなものを奪っていくなぁ…
ところで、"少ない"って言ったって、結婚をしたり、子どもが生まれたり…というライフイベントを多く抱えがちな人たち(おおよそ20代後半〜50代くらい?)の人たちのセックスの頻度は減ってはいるとはいえどれくらいなのか?ちょっと気になって調べてみました。
オランダのニュースを伝えるAD(Algemeen Dagblad)による少し古い記事(2016年)ですが、子どもが生まれてからのセックスライフに不満を感じている人たち(つまり、保護者)が多いことがわかりました。
"子どもが生まれてからのセックスライフはスローダウンを迎える"
冒頭はこんな一言から始まります。
何ともオランダらしい冒頭だぜ…
この記事によると、ADの質問に回答した家族の46%が子どもが生まれてからのセックスライフがスローダウンを迎えたと答えています。また、そのうち42%の保護者たちがそれに満足しておらず、もっと頻繁にパートナーとのセックスライフを楽しみたいと感じているそうです。
回数に関しては、62%の保護者がセックスの頻度は週に1回以下であると回答し、25%の保護者が月に1回程度だと回答しています。朝には時間がないし、夜は疲れ過ぎていてそれどころではない…というのが正直なところ。しかし、忙しすぎる現代人の働き方と、少子化の関係は思ったより根深そうですな…
さて、その一方で「だからしょうがないよね」で終わらないのがオランダの記事。
なるほど…全体的にめちゃくちゃセックスをすることを推奨しているなぁという感想。子を持つ現代人は仕事に育児に忙しいことを理由にセックスをしていないようだけれど、ベビーシッターでも祖父母でも頼って、新しいことに挑戦するようにお互いが満足できるセックスライフを取り戻した方が良いのでは?そんな風に言っているように感じるのは私だけでしょうか?パパやママといった役割を生きるだけじゃなく、男女を取り戻せ!とも聞こえます。
しかし、何故ここまで「セックスライフを楽しむこと」を推奨するのか?元の記事にヒントがありそうです。
1950年代生まれ VS 1960年代生まれ?
最初の記事はこう続きます。
なるほど…つまり簡単に言うと、今の75歳以上の人たちが若い頃に得たセックスに対する見方が、75歳という高齢を迎えた今に影響を与えているということだということです。1960年代は保守的なオランダがどんどんリベラルな社会へと変化した時期であり、その頃に最も(性的に)盛んだった若者だった現在の75歳以上の人たちは、若かりし頃の"セックスに対する見方"に「今」花を咲かせているということ…だとしたら、今のオランダの若者が75歳以上の人々のようにセックスをしていないことの結果は、彼らが高齢になった時に現れるのかもしれません。
非常に個人的な意見ですが、確かにオランダの高齢者は元気です。近所のコミュニティセンターを覗けば高齢者の笑い声が聞こえてくるし、私がフードバンクのボランティアをしている建物にもたくさんの高齢者がやってきて、お茶を飲んだり、カードゲームをしたり、声高らかに笑い合っています。お隣のおばあちゃん(88歳)は一人暮らしですが、週に何度かミニバンのお迎え車に乗って、高齢者の集まりに出掛けて行きます。娘をダンスに送りに行けば、待ち時間を過ごすカフェで高齢者の方々が30名ほどカードゲームを楽しんでいます。オランダの高齢者ライフ、結構楽しそうかも。そんなことをよく思います。
そして、仮にそれが彼らが彼らなりのセックスライフを楽しんでいるからだとしたら…?セックスと健康には関係がありそうな…
「セックス」と聞くと、何だか話し合うのも恥ずかしい、どうにかして隠したいトピックのように捉えられがちですが、実はもっとヘルシーに、健全に話し合われるべきことなのかも。
私といえば、義則と自分たちのセックスライフについてこれまで何度か話をしてきたけれど、今回またオープンに話し合って、とってもすっきりした気持ちになりました。
「そんなこと考えてたのね」という発見もあれば、
「じゃあ、こうするのはどう?」と提案しあってみたり。
結論からいくと、また夫婦関係が良くなったと感じています。
その後、オランダ語で夫婦の性生活について調べてみると、たくさんの記事が出てきました。次回の記事では、そんな「セックスライフについてパートナーとヘルシーに語り合うこと」について書きたいと思います!