オランダの学校教育の特徴⑧<飛び級や留年は自然なこと>
前回の記事で、他の子どもたちと比べて突出した才能を持った子どもたちのために"gifted school"という学校が用意されていることを書きました。
オランダの学校教育の特徴⑥<GIFTEDスクールの存在>
https://note.com/naom_27/n/n77c01ff94c7c
こういった"gifted school"が存在することはオランダに限ったことではないと思いますが、ホームスクーリングが禁止されているオランダにおいては、そういった子どもたちにも、「学校に属すること」を推奨していることがわかります。
「全ての子どもたちにとって適切で安心できる教育環境を」
これを全ての子どもたちに適応させようと思えば、教育制度や学校は柔軟に対応することが求められます。
その「柔軟さ」の一つに、オランダには「飛び級と留年」の制度があります。
日本ではほとんど起こり得ない、この制度。
文字を見ても、飛び級はポジティブに見えますが、留年(原級留置)はネガティブな文字として映るのではないでしょうか。
私は高等学校で働いていたので、しばしばこの原級留置になる生徒をみてきました。しかし実際のところ、留年が確定すると、自主退学を申し出る生徒の方が多いです。そうやって学校を去っていく生徒たちをたくさん見てきました。
オランダでは、小学校からこういった制度が適用され、しかも、ごくごく一般的に起こり得ることとして捉えられています。保護者との面談で「もう一年同じ学年をやってみますか?」というようにして、話が進められていく。と聞いています。
そして、教師からのメッセージには、
「あなたのお子さんは、他の子に比べて発達が遅い」
というような意味は全く含まれていない。と聞いています。
要するに、原級留置は、
学び直しの機会であり、それは子どもを一人の個として見た時に、
「この子にとって最も適切な教育とは何かを考える機会である」
ということです。
年齢情報がさほど重要ではないオランダの社会の中では、相手が何歳であるか。ということが何かに支障をきたすものではありません。
むしろ、年齢に縛られることで環境への不適合が生まれるのであれば、
「自分に何が合っているか」を知っていることの方が重要な気さえします。
個人的に、日本でこの制度が適用されるのはずっとずっと先のような気もしますが、子どもたちの個性や特性がきちんと認められるために、教育制度や学校の在り方の何を変えなければいけないのか。
そういった「子ども中心の議論」がもっと盛んになれば良いな、と思っています。