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オランダ移住に向いているかもしれないマインド?

こんにちは!最近また「海外移住」やら「教育移住」やらのご相談や連絡をいただくようになってきました。私の海外経験は、学生時代にアメリカで10ヶ月、そしてオランダでの生活も5年目に突入しました。今回は、オランダ移住だけに限らず、海外での暮らしに向いているかも?というマインドについて個人的な視点から書こうと思います!

Voicyでもお話ししていますので、ご興味がある方はこちらからどうぞ!

https://voicy.jp/channel/3079/6061764

教育の根本は家庭だと思っている、教育に期待しすぎていない

「オランダは世界一子どもが幸せな国」そう聞くと、何故か多くの人たちは「きっと教育が良いんだ」と直結して考えがちのようです。ただ、私が思うに、オランダの教育は日本から拝むほど良いものだとは思いません。また、オランダ生まれオランダ育ちの子どもたちが享受できるものと同じものを日本人家庭(もしくは日本にルーツが一部ある子ども)が全て受け取れるかというと、まずスタートラインが同じとは言えないこともあるのではないか?と思います。

いわゆる「オランダ生まれオランダ育ち」の家庭が多い学校に通っている身としては、彼ら/彼女たちから「学校教育に対する姿勢」として学ぶことはたくさんあります。まずは「学校教育に多くを期待していないこと」です。これは"諦め"という意味ではなく「根本は家庭である」と捉えていると言っても良いかもしれません。つまり、子どもを育てる保護者としての自覚が強い側面があるということです。

これは決して、彼らが「何でうちの子にはあれをしてくれないんだ」などと、不満を持たない訳ではありません。ただ、必要以上に期待をせず、自分たちの足元の方により注目をしているということだと思います。

その理解を誤ると、別の文化圏からやって来た人間として「勝手に」学校教育に期待をして、「勝手に」落胆するという事態を招いてしまうことがあります。そして、そういった保護者の姿勢に辟易している学校関係者もいます。「世界一子どもが幸せな国で、自分の子どももその仲間入りを」と勝手な期待を膨らませやすい人に、正直オランダはおすすめしません。

子どもたちの健やかな学校生活を支えるのは、学校教育が与えてくれる全てではなく、保護者自身がどういったスタンスでこの国の文化に溶け込んで生きていくつもりがあるかに大きくかかっていると思います。

つまり、次に書く「言語を学ぶつもりがあるか、溶け込むつもりがあるか」に大きく左右されるということです。そういった意味でも「教育」を消費するスタンスの考えの人はあまりオランダには向いていないかと思いますし、自分の期待に応えてくれない…と不満を感じることも多くなりがちです。

現地の言葉を学ぶつもりがある、人と繋がるつもりがある

これは、私が数ある中で「最も声を大にして言いたいこと」かもしれません。これはオランダに限らず、あらゆる国で言えることだとも思います。

オランダの人たちは世界で最も英語を流暢に話す人たちだと言われています。この背景にはオランダのバイリンガル教育が成功していることが挙げられますが、そもそも西ゲルマン言語として言語属性が近いこともその理由です。

ただ、そんな彼らが英語を話す時「彼ららしく話しているか?」と聞かれると(個人的には)そうは思いません。もちろんその人の職種にもよるというか、インターナショナルな環境で働いていたり、そういった友人知人が多い人たちに限っては「英語を話すこと」にハードルを感じていない人たちもいるように思います。ただ….そんな彼らが「オランダ語」を話して、友人や家族と自分らしく話をしているのを見たことがある人は、きっと思うでしょう。

「あぁ、英語は彼らにとってフィルターなんだな」と。

私はこれまでに、幾度となくそういった様子を見てきました。別に英語は話してくれるけれど、彼らがホームランゲージとしてオランダ語でジョークを飛ばしあって笑っている様子を見ると、それがわかります。

さらに、オランダの人たちは人と繋がった社会の中で生きています。子どもを両親に預けて友人夫婦と食事に出かけたり、家の家電が壊れたら得意そうな友人を呼んだり、ちょっと子どもを見ていて欲しいと思ったらご近所さんに預けたり…

そうやって「人と繋がって生きている」彼らと同じ目線に立とうとすると、この社会に生きる人たちと繋がらずに生きていくことはちょっと違和感に感じることもあるように思います。人を信じたり、人を頼ったりすることが難しいと、「住んでいるのがオランダであるだけ」の生活になる可能性があるように感じます。そして、そういう暮らしを送っていると、本当の意味でのオランダの人たちの暮らしは意外と見えなかったり。

「オランダは暮らしやすいけれど、英語で話している限り溶け込めていない感覚はずっと自分の中にあるよね。だから、ホームだと思えないんだ」

こういったモチベーションから「本当の意味で溶け込みたい!」と語学学校に通う人たちがいることも事実です。

生活の細かいところにこだわらない

宅配の荷物が"delivered(配達済)"になっているのに自宅には届いていない、家のヒーターが急に動かない、停電した、どうもインターネットの繋がりが悪い、水漏れ/雨漏りしてきた…など、オランダでの生活では「不便になっちゃうこと」に耐性がないと生きていけません。

「世の中は自分が「こうだ」と思っている価値観で動いている訳ではない」ということが、ちゃんと腹落ちしていないとイライラだけしてしまう生活になりがちです。特に、日本のようにハイコンテクスト文化が行き届いたスーパー便利、痒いところに手が届きまくる社会からのギャップは大きく、「(憧れの)ヨーロッパなのに!?」と思うくらいの生活が待っているという感じです。

意外と「ヨーロッパ」というイメージは日本人が勝手に作り上げた架空のイメージで、実際の彼らの生活は私たちがイメージするものとは異なることも実生活にはたくさんあると感じます。憧れのヨーロッパ生活よりも、日本の生活の方がよっぽど便利ですが、そんなに利便性って必要なのかな?と思う人にはこちらの暮らしが向いているのかも?

消費主義ではない

上の「ヨーロッパ」のイメージにも繋がりますが、ヨーロッパの国々の中には「脱消費主義」を謳う国々も多くあります。むしろそれは一部でトレンド化している印象さえ受けます。

普段の生活の中で「あれがあれば便利なのに〜!」というのに応えてくれるような100均を担うものもほとんどありません。だから「不便は不便」として受け入れるようにトレーニングされている気もします。笑

フランスやイタリアというように、いわゆるハイブランドが日本ではイメージされがちですが、意外とこっちに住んでいるとハイブランドの服飾品を身につけている人さえ目にしません。私は特にデン・ハーグ(第3の都市)に住んでいるからかもしれませんが、アムステルダムでもこれみよがしにブランドものを持っている人をあまり見ませんし、むしろ「アンチ消費主義」のマインドさえ感じることさえあります。

「モノを買うのが好き」とか「モノを売るのが好き」とか、そういった生業をしたい人とは、ちょっとマインドが合わないかも…


衛生意識が高すぎない(笑)

公園で床の上をハイハイしている、赤ちゃんがカフェのおもちゃ(もちろん他者が使用済)を口の中に入れる、レストランで出されたミントティーに小さな虫が入っている、トイレから出ても手を洗わない人がいる、落ちたものが手にとって食べられそうだたら食べる、学校から帰ってきても手を洗うための動線さえない、レストランでまずお手拭きが出てくるはずかない…など、オランダの衛生意識の低さはなかなかです。

細かいことを挙げれば本当にキリがなく、もちろん衛生意識に関しては家庭によって様々だ…という意見を考慮したとしても、社会一般的に衛生意識が日本ほど高い国ではないことは明らかです。

よって、除菌付きの人にはおすすめしません。笑

また、医療に関しても彼らの意識は「自分次第」という考え方が強く、簡単に医者を頼りません。よって、体調を壊したらすぐに薬に頼りたい!体調が悪くなったらすぐに良くなりたい!という欲求が強い人には、オランダは心からおすすめしません。かかりつけ医の予約が2週間先にしか取れないなんてこともよく聞きます。では、彼らは何をしているかというと、「パラセタモール(アセトアミノフェン)を服用して寝る」ということに徹します。私の知人の女性たちも「滅多に病院には行かない」というタフレディばかりです。笑

「菌が身体に入るのは嫌だ!」という気持ちがある人にオランダの価値観はあまり合わないかもしれません。なぜなら、「菌が入って強くなる」というところを彼らは結構ポジティブに捉えている節があるからです。

まとめ

…ということで、色々書きましたが「不安症」な人はオランダの生活、結構きついと思います。「どうしよう」「どうしたら良いの」とか「すぐに解決したい」とか「すぐに良くなりたい」という欲求に即座に応えてくれることがあまりないこの社会…「まぁ、いいか」「そういうこともあるか」くらいで捉えられた方が、生きやすいことは明らかです。

それは、医療でも、教育でも、普段の生活でも。

「待っている」という姿勢では「助けを求めている人がいる」として認識してもらえないこの社会では、(言語の壁を理由に)主張が苦手な人も、多くのストレスを抱えやすいと思います。

だからといって、主張すれば良いかといえば「ただのクレーマー」になり得ることもあるので、主張の方法はよく考える必要がありますが…つまり、「相手の尊厳を損なわないように主張する作法」を知っているということかもしれません。

何もかもが完璧な社会が存在しないように、オランダの生活や教育も日本人が期待する完璧具合で完璧ではありません。これからオランダに限らず、海外への移住を検討されている方の参考になれば幸いです!


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三島菜央<🇳🇱オランダ在住/元高等学校教諭>
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