0歳-4歳 発見期 / 0歳-18歳の性教育
このマガジンでは「世界一」と称されるオランダの性教育において、この国で紹介されている性教育の資料を日本語にすることで、多くの方々に性教育の大切さをお伝えしています。
シリーズ最初は、Rutgersというオランダの性教育のシンクタンクとされる団体が提供している「0歳-18歳の性教育」というパンフレットの「0歳-4歳」のページについてご紹介します。
身体同士の接触、愛着
赤ちゃんは身体が触れることが大好きです。ハグをしたり、されたり、抱きしめたり、抱きしめられたり...こういった身体を接触させる行為は赤ちゃんに安心を与えることにつながり、信頼関係を築くことにつながります。
「スキンシップ」と聞くと、日本文化からは少し離れたもののように聞こえるでしょうか。オランダで生活していると、子どもと保護者だけでなく、大人もハグをしたりしている様子をよく見ます。(もちろんコロナウイルスの影響でその様子は最小限に留められていますが)
その始まりである「愛着行為」が積極的に行われることが、性教育の始まりでもあるという風に書かれているように思います。
自分の身体を観察する
赤ちゃんや乳幼児は自分の身体をよく見たり、何かを感じることで自分の身体というものを観察したり、発見していきます。時に、幼い子どもたちは自分の下半身を触ったりして、自分の身体を認識していくものです。この年齢であっても、男の子であれば時に勃起することもあるのですが、それは性的に興奮しているわけではありません。自分自身の下半身を触ることは子どもたちにとって指吸いと同じようなもので、「気持ちいいこと」だと学んでいくのです。
「指吸いと同じこと」という表現がとても印象的でした。人間だれしも「気持ちいいこと」をしたいという欲求があって、その自然さを認めていくことが性教育を理解する上で大切なことだと言えるかもしれません。
身体への好奇心
幼児は自分の身体に興味があると同時に、他の人の身体にも興味があります。例えば「みんなのおしっこはどこから出てくるのだろう?」というような感じです。そしてそれは子どもたちにとって、自分以外の人々が男性か女性かという性別を判断する基準にもなっています。
自分の身体に興味を持ち、それを知っていくことは、同時に他者の身体への興味につながる。それはとても自然なことであり、そこから生まれる「異性」とう概念の理解について書かれています。
下ネタや汚いことば
時に子どもは下ネタや性的に汚いことばを言うことに楽しみを感じます。急に「うんち」や「おしっこ」と何度も何度も叫んだりするのです。そういった発言や行動が面白いことや興奮するものだと思うのは、大人がそういった言葉や行動にリアクションをすることに気がついているからなのです。
子どもは大人ほど深い思考や多くの語彙を持たないとするならば、子どもには子どもなりの表現方法があると言えるのかもしれません。大人からすると違和感を感じる表現も「子どもながら」の表現であり、それを発することは性への興味関心が進んでいるということだと捉えられます。
質問①:2歳になる息子のペニスをどうやって洗えばいいのでしょうか?包皮を持ち上げて中まで洗う必要があるのでしょうか?
男の子のペニスは温かいお湯と柔らかい布で優しく洗ってあげましょう。石鹸を使うことは推奨されません。ペニスの周囲にある皮膚を洗うことも忘れずに。この年齢では包皮を持ち上げて洗う必要はありません。それができるのはだいたい3歳〜6歳の時で、先端から包皮が緩み始める時です。
小さい男の子の身体に関する疑問は、例え男性であっても持つ可能性があるかもしれません。どうすれば良いかわからない疑問に対して的確に答えてくれています。
質問②:3歳の娘が時々自分のヴァギナを手で触ったり、椅子に擦り付けたりしています。どうやってその癖をやめさせればいいのでしょうか?
そういった行為は普通のものであって、無理に止めさせる必要はありません。きっとそうすることでいい気持ちがしたり、リラックスができるのでしょう。子どものこういった行為は大人が考えるような性的な行為とは異なります。ただ、そういった行為は1人の時にするように伝えてもいいでしょう。周囲に誰かがいる時にするものではないと言うことも必要です。
「やめさせる必要はないが、周囲に人がいないことを確認してから」性器に触れる行為はとてもプライベートなものであること、周囲への配慮が必要になることがあることを3歳の子どもに伝えることは難しいかもしれませんが、その価値があると言えます。自分自身を大切にするためにも知っておくべきことと言えるでしょう。
次は4歳-6歳の「性に関する遊びと学び」について
次の記事では「4歳-6歳の性に関する遊びと学びについて」をご紹介します!