オランダの学校教育の特徴(11) <まるで日本の保活?!オランダで人気の小学校>
オランダでは教育の自由が認められ、学区制もないため、保護者は様々な事柄を考慮した上で小学校を選択します。
「うちの子にはオルタナティブ教育が良いかな」
「家からの距離を考え、現実的にいくならあの小学校かな」
「少し遠くはなるけど、評判の良いあの小学校にしようか」
「モンテッソーリ教育はうちの子には合わなさそうだ」
「進学率の良さそうなあの学校に期待できる」
などなど、家庭の価値観に合わせて小学校を選択できます。
日本では公立の場合、学区制で通うべき小学校が決まっているため、小学校からの連絡を待ち、一斉に行われる保護者説明会に参加すると思いますが、オランダの場合、必要であれば保護者自ら各学校で開かれる学校説明会に申し込みます。
私も学校視察のためにこれまで何校かの小学校を訪れてきましたが、学校によって保護者の雰囲気も違うもんだなぁ。と感じてきました。
特に人気の小学校の場合は、学校説明会の予約がなかなか取れません。学校のHPにその予定がアップされ、しばらくして申し込むと、「満員です」などと返ってくることもしばしばありました。
また、実際に人気校の学校説明会に足を運んでみると、保護者の姿勢も違います。「良い情報を持って帰るぞ!」という気迫さえ感じられ、熱心にメモをとる保護者も見受けられました。
さらに、「人気校」と呼ばれる小学校では、日本の保活のように「生まれてしばらくするとウェイティングリストに登録する」というようなこともあります。少しでも有利な条件を獲得するために、学校の近くへ越してくる家庭もあると聞いています。
※最近では、このような仕組みが見直され始め、自治体が子の登録を一括で管理するシステムに移行し始めているようです。
比較的教育熱心な家庭が狙う人気校ですが、その学校がこれから通う子どもにとって良い学校かどうかはわかりません。
もちろん、説明会に参加している保護者もそれを理解しているとは思いますが、保護者が鼻息を荒くして校長などの話を聞く様子を見ながら「少しでも良い教育環境を」と思うのは、どの国でも同じなのかもしれない。と思いました。
また、人気校の学校説明会には1名よりも、夫婦やパートナーと一緒に参加している人たちの方が多かったのも印象的でした。
学校説明会は平日の午前中に行われることが多いため、時間休などを取って参加しているのかもしれません。また、プレゼンの途中や最後の質問に対しても多くの時間が割かれる傾向もあります。
何にせよ、オランダにも「人気の小学校」があることは確かです。
子どものために教育熱心な保護者が多いことは良いことではありますが、この「より良い学校選び」が社会を間違った方向へ導かなければ良いな、と思います。