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ボランティア団体の"飲み会"に参加して

こんにちは!先日、私が所属しているフードバンクのボランティア団体のいわゆる「飲み会」がありました。費用は全て団体が負担してくれるので、中華料理屋さんで思う存分仲間と話をして、飲食を楽しみました。


デン・ハーグにあるいくつかの活動拠点

今回の会にはおおよそ50名ほどの仲間が集まりました。私が所属している団体にはデン・ハーグ内にいくつかの建物があり、それぞれの異なる無料もしくは安価なソーシャルサービスを提供しています。例えば、

A建物
・フードバンク
・衣類バンク
・様々なアクティビティセンター
ex) ヨガ教室、高齢者のランチ、子ども向けのアクティビティ

B建物
・カルチャーセンター
ex) 言語教室(英語やオランダ語、スペイン語などなど)、料理教室、編み物教室、カードゲームクラブ、太極拳レッスン

C建物
・カルチャーセンター
ex) 言語教室(英語やオランダ語、スペイン語などなど)、料理教室 など

こんな感じで、そのご近所周辺に住んでいる人たちなら気軽に立ち寄ることができ、人々の交流の場としてのソーシャルサービスを提供しています。

今回はこのA~Cの建物でボランティアを行う人々が皆集まったのでした。

労働時間が短い国ではボランティアの数が豊かになる?

オランダは世界でも有数のワークライフバランスが整った国だと言われています。オランダ駐在員のためのサイトIamexpatには、4分の3以上の外国人労働者(主に駐在員)がオランダの労働環境に満足していると書かれています。その中でも目立つのは「ワークライフバランス」であり、いわゆる柔軟に働けることや、家族との時間を含めた余暇の時間を十分に持てているということだとも言えます。

そして、実際のところ私の周囲でも肌感覚で労働時間が短縮化されていると感じます。それは教育者にも及んでいて、いわゆる月曜日から金曜日まで勤務している学校の先生の数はとても少ないと感じます。周囲の教職員を見渡しても、週4日勤務をしている人が多く、そういった人たちの中には残りの1日をボランティア活動に充てている人もいるのです。

結局、人間は労働時間が短くなった時に生まれる「余暇時間」をどのようにして過ごすかと考えた時、人々は家族や地域活動、レクリエーションといったものに関与しようとするのかもしれません。そして、実際のところ動労時間の短縮は、それらの活動への関与を促し、結果的に社会資本が豊かになるのだと、オランダの歴史家であるルトガー・ブレグマンは書籍の中で書いています。

節目には「ありがとう」を伝えてくれる

さて、私がこの団体に所属してもうすぐ1年が経ちます。ボランティアに報酬はありません。しかし、これまで団体から「感謝」を伝えてもらったことはたくさんあります。例えば、クリスマスには自宅で楽しめるキャンドルセットをもらったり、バレンタインデーにはマネージャーからのメッセージカードが添えられたお菓子のセットをもらいました。今回の飲み会もその1つです。

ボランティアをしている人たちの年齢層は幅広く、私のような子育て世代の人たちもいれば、仕事をリタイヤしてボランティア活動に参加している人たあ地もいます。

そんな私たちは決して最初から見返りを求めている訳ではありませんが、やっぱり「いつもありがとう」と言ってもらえると嬉しいものです。「想いをカタチにすること」を大切にしてくれる団体だからこそ、私たちも活動を続けようと思えるのかもしれません。

ボランティアは「労働力を搾取して良い存在」ではない

そんなオランダから、「ボランティアはやるだけ損」というように思う人たちが多くなる社会、そしてそう感じる原因は何なのだろう?と考えた時、「自分が丁寧に扱われていないという不満」があるのではないかと思いました。地域のボランティア活動に限らず、学校のPTAや、いわゆる「有志」で行われているものを「めんどくさいもの」と感じる人たちが多いとしたら、少なからずそう感じてしまうような経験やイメージがあるのだと思うのです。

ひょっとしたらそれは、そこでの人間関係かもしれないし、そもそもの活動の中で邪険に扱われているような気持ちになるのかもしれません。人が気軽に繋がったり、関わったりすることが億劫だったり、めんどくさいと感じる社会の中では、なかなかボランティア活動は普及しないかもしれません。

一方で、オランダで周囲のボランティアスタッフを見ていると、彼らはボランティア活動の中で「人との繋がり」を楽しんでいるように見えます。彼あの中には基本的にコミュニケーション能力が高い人たちが多く、「誰とでも楽しく働ける」という姿勢を持っているように感じます。

フードバンクでの活動は必ずしもいつも「良いこと」ばかりではありません。利用者に心無い言葉をかけられることも時々あります。それでも、「この社会をより良くするための活動」をあえて行いたいと思っている人たちは、仲間と取り組む活動の中で、それでもボランティア活動をしようと思うのです。

だからこそ、そういった人たちを注意深く大切にする必要があるのだと思います。人々の中にある「善意」をそのまま活かせるための仕組みやケアが必要なのだと感じます。

社会は自分たちの力でより良くしていくことができる

「自分たちの住んでいる地域で困っている人たちがいたら、自分たちの力でより良い状況に変えていけるはずだ」

ボランティアスタッフは基本的にそう信じて、自分たちの社会や地域に責任を持とうとしているように見えます。誰かが何かをやってくれることばかりを待つのではなく、自ら行動することの大切さを教えてくれている気がします。

ボランティアだけではなく、「誰かのために何かをしようとする人」が大切に扱われる社会、そういった活動や人々を応援する社会では「人々の心の豊かさ」を感じることができます。そしてそういった気運がまた、社会に良い流れを生み出すのかもしれません。

今回の飲み会を通して、また仲間と呼べる人たちが増えました。こうやってオランダでの暮らしを自分の力で豊かにしていく人生にようやく馴染んできた気がします。

私たちの活動内容に賛同いただける方々からのサポートをお待ちしています。ご協力いただいたサポートは、インタビューさせていただいた方々へのお礼や、交通費等として使わせていただきます。よろしくお願いいたします!