ウオッカと グレープフルーツで 作るカクテル の味に思い出す、あの時代の情景
ここ、マウイ島の、アップカントリーで、 作られている ウオッカと、グレープフルーツ。 絞って、ウオッカで 割ると、グレイハウンド という 猟犬の名前が ついた カクテルが 出来上がる。 久しぶりに、作ってみて、しみじみ、NY時代を思い出す。
このカクテルは、90年代のはじめ、私が NYに 移住した時に、覚えたカクテルである。 その時、大好きだった人が、いつも、このカクテルを注文していたので、 私も つられて、いつの間にか、私の飲み物 になった。
あの頃のNYは、まだ、経済のクラッシュの後、冴えない時で、 まだまだ、危険な香りのするがゆえに 魅力的な場所が マンハッタンの中でもたくさん あった。
私の生活は、ナイトライフにあり、早朝という時間帯が、私の人生になかった。
その時代の風景というか、香りは、建物の景観と、そこに住み、働く人たちが 醸し出す、独特のものである。まだまだ、ミュージシャン やアーテイストたちが たくさん、住むことができた、マンハッタンは、自由で解放的で、いろんなお店に 生の音楽が あふれていた。
週末のダウンタウンの、レストランには、お昼から、ライブ演奏が 多く入っていたし、 特に、ボサノバのバンドは、太陽の高い中、カクテルを飲みながら、聞く音楽としては 最高だった。
2000年に入ってからは、9・11も起こり、街からライブ演奏が 減っていき、スタート時間が早まり、ナイトライフが どんどん、削ぎ落とされていくとともに、だんだんNYが 安全になり、東京と変わらない ハプニングしない街になっていったように思う。
その、グレイハウンドを いつも飲んでいた人は、今も、マンハッタンで、元気に演奏している
のが嬉しい。彼の指先から 奏でられる音は、今でも、天上界からのもの であり続けている。 そして、私のカクテル、グレイハウンドの 映像の 背後に流れる音楽は、十代の頃から、そうであったように、 ジャズであり、これからも、ジャズ でしかないだろうな、と感じている。