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アンサンブルピアニストとして

伴奏者としての立場。
例えば、学生さんの試験やコンクールで、
オーケストラの代わりとして弾く時、
ピアニストは、完全な黒子。
いかにソロを引き立てるか。

ピアノは楽器としてサイズも音も大きいので、
普通に弾くと、
ソロをかき消してしまう。
極限まで弱い音でいながら、
色々な種類の楽器の音をたどり、
オーケストラのダイナミックを表現するには、
ちょっと特別な技術が必要になる。
単旋律のソロに色合いと厚みを与え、
更にソリストのインスピレーションを刺激する
独自の世界観で臨む。
大きな音楽の流れを作り、
その中で安心して遊べるようにする。

黒子として個性を消すけれど、
ソロの中に自然と私の個性も表れる。
一音外すだけでも、
ソリストに与える心理的影響は大きい。
とても責任の重い、
繊細な感覚を求められる立場。

ソロを聴くためのものだから、
準備期間なしで、適当に弾いてくれればいい
と言われることがある。

やって出来ないことはないけれど、
私はいつでも一音ずつに敬意を示しつつ
音楽に向き合いたい。
それには時間が必要なんです。

とは言っても、
これまで色々経験させてもらう中
時間がない状況でのスピード感が
高い効果を上げることもあった。
でも、そればかり続けていると
擦り減ってしまうので、
やはりじっくりと向き合いながら、
人生そのものを映し出す音楽を作りたい。

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飛澤直子
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