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(2)起業家になった後天的な能力形成のはなし。

それは「音」。SOUND、バイブス、リズムを創作することから始まった。

私には兄がひとりいる。

幼少期から今も、兄は格別で父から事業の帝王学を学ぶわけでもなく、習い事を強要されるわけでもなく、かぐや姫のように宇宙のどこからかやってきて、いかにして、あの独特の世界観を構築したのか謎だ。

血がつながり同じご飯を食べて育った子なのに、別の星からきたのかな?と思うほど、父親の物理学とはまったく関係のない文学活動やアート感を創造して今に至る。作家。映画原作、映画プロデュース、そして常に新しいビジネスと人物に触れ、本人は創造を謳歌している。父とも全く違うが、こちらも「探求心」「自尊心」「遊び心」の3点セットである。


そして私は、比較的、兄の影響を受けて育った。しかし、私を形成したものは、兄にも持ち得ていなかった、幼少期の「音」とのかかわりにあったと思う。

3歳から母の方針でたくさんの習い事をしてきたが、とにかく、たくさんの芸術にふれさせてもらって過ごした。当時ピアノの先生が二人いて、一人は王道のクラシック音楽だったが、それはカリキュラムのような義務であり、若干の苦痛もともなったが、人前で習ったことを発表する、といった個人プレーでの根性は、そこで培われた。幼少期の「音」といったのは、もう一人のピアノの先生による教育が、お手本などなく、自ら作曲活動や即興演奏をするという、自分が何かを作り出さない限り、音を発することができないという創造力の訓練にあった。

自分の音を持つ。自分のリズムを持つ。自分の音に名前を付ける。

その先生は当時、すでにクラシック化していた「ビートルズ」を小学校1年生の私に弾かせた。ビートルズの有名楽曲の多くを、英語の歌詞とともに弾き語りしていた記憶があって、おそらく相当、弾いていたと思う。そこには一片の苦痛もなく、創造の根源となり楽しみであったように思う。小学校時代の文集には音楽の楽しさから「ラジオDJ」と書いた記憶がある。



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