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しあわせと 思える幸せ 君を推し

朝刊の書籍広告欄に、面白いタイトルの本を見つけた。

『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』 横山義明著 (サンマーク出版)

壮大なテーマだ。突然ド~ン☆と私の目に飛び込んで心を捕まれた。何だか、ものすごく面白そう!

そもそも私は、この「推し」という言葉の定義がわかっていない。「推し」って何?と思った。親切なことに、小さく説明があった。

(例)SMAP、Kinki kids、羽生結弦さん、韓流俳優など
※「推し」とは心の救いになっている俳優、アーティスト、スポーツ選手などのこと

ふむふむ。おばちゃんには大変わかりやすい例えだ。楽しくなってきた。

人生を変えた「推し」という存在。

「推し」がいてくれるだけで元気になれる。生きている実感がある。
「推し」のためにも、自分を磨く。
「推し」のために、精一杯応援する自分。
「推し」は、わが人生のしあわせ。
  

そういうことなのかな?

私は、高1の時、「ベイ・シティ・ローラーズ」のパット・マッグリンが大好きだった。寝ても覚めても想うのは、パットのことばかり。

ラジオで聞いたベイ・シティ・ローラーズの特集。“ ヤマモトサユリ ” という女性が彼らに英語でインタビューをしていた。

「パットやメンバーのみんながこう言ってるよ」「今回の日本公演で日本の皆さんに会えることを楽しみにしているよ!って話していますよ~!」と、サユリ氏が言う。楽しそうな雰囲気がラジオから伝わってくる。

メンバーと仲良く話す彼女に、めらめらとジェラシーを燃やし羨ましく思った。大人になったら彼女みたいなインタビュアーになってラジオで話してみたいと、当時は真剣に思ったものだ。直接渡せることなど無理だとわかっていても、パットの人形を夢中で作ったりもした。

こんなこともあった。

親に内緒で学校を休んでコンサートに行こうとしていたら、母親に感づかれ、『コソコソ行くのはみっともない。行くんだったら堂々と行ってきなさい!』と叱られて。堂々と学校休んで、一人で片道4時間の汽車に乗って、コンサートへ。

高校生だと思われないように、大人びた服を着て。汽車の中で一人ドキドキしながら、窓から景色を見て。
大きな会場。満員のファン。みんなの興奮と会場の空気。

彼らが登場した時の『キャ~~~!!!!!』という大歓声。すごかったなぁ。パットの姿は、小さくしか見えなかったけど、同じ会場にいるというだけで本当にしあわせだった。

コンサートはあっという間に終わった・・・ように感じた。思う存分盛り上がった。帰りの汽車は平日の夜だったから乗客も少なくて、静かに余韻に浸ってた。

母親に叱られはしたけれど、この日のすべてが、ものすごく嬉しくて満足感いっぱいで、「ただいま~!!」って元気に家に帰った。
高1の大切な思い出。

でも、私が好きだったあの頃の気持ちより、「推し」を想う今の人たちの気持ちは、きっとずっと進化成長しているように感じる。

精一杯応援する気持ちや行動が深くて大きい。
応援するという意味が変わってきている。
自分が楽しむためだけがファンではない。

本の広告で、羽生結弦選手のファンの方の感想が紹介されている。
私も以前テレビで、羽生選手のファンの皆さんが、仙台でのパレードの後で道路のゴミを拾って帰られるのを見たことがある。ファンとしての誇り!本当に美しい活動をされていた。

冬のソナタが大ヒットした時には、ご高齢の女性の方々が冬ソナを観る時、美しく身を整えてご覧になっている様子がテレビで紹介されていた。

本当に素敵!生き方がチャーミング!

そんなファンの存在を、スターの方も知っていると思うし、嬉しいし、誇りに思っているのでは?

こころとこころの共鳴。それぞれが、生きる大きなエネルギーになっているんだなぁと思う。

私は、新人研修の始まりの時に、受講生の皆さんに「今、自分がハマっていることを話し、それを皆におすすめする」ということをして頂くことがある。自分の「推し」について日頃考えていることや自分なりのつかみを語り、さらにそれをお勧めするという課題を出す。

受講生の方々は皆、初めは緊張して硬い表情で座っているけれど、いざはじめると、皆さん自分の言葉で、イキイキとその「推し」について話し始める。時にはジェスチャーつきで。本当に楽しそうで、心から幸せそうな顔・顔・顔・・・

「アニメのライブ」「お芝居」「声優さん」「プリン」「ダーツ」「魚釣り」などなど・・・

「推し」は人とは限らないけれど、皆さんそれぞれに何かに夢中になっていて、楽しむ自分を持っていて、それをどんどん突き詰めている。そしてそのことに幸せを感じているのがビンビン伝わってくる。そういう彼ら彼女らの笑顔を見ているだけで、聞いている方もみんなニコニコでしあわせな気持ちになってしまう。実は研修の最初の段階でこれができると、場の空気、雰囲気が柔らかくなって、がぜん活気が出てくる。

「応援している人がいる」「好きなことがある」

それは自分を向上させるエネルギーになっている。生きている喜びと実感、まさにしあわせと感じる幸せな時間を生きている。

そう考えると、どんな状況でも「推し」は大切だ。何でもいい。今の自分が「あ~、しあわせだなぁ」と感じる心を持つことができる。

一冊の本の広告をきっかけに、私はあらためて、

そんな「推し」がある人は、しあわせな人で素敵だなって思った。

とまぁ、得意気に語りながらnoteの原稿を書いていたら、
我が社を代表する優秀なスタッフが一言、

「・・・ところで 社長、本は読んだのですか?」

す、するどいっ! まだ読んでいない・・・;

はい、買ってきます。

キャットクイーン

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