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生命保険各社の決算状況から見る、これからの生命保険営業のポイント


2020/6/3AM現在、日本経済新聞にてこちらの記事が公開されています。

生保11社、新規契約急減:日本経済新聞

販売しているプロダクトポートフォリオが変わっていく中で、

外貨建ては為替の説明などができないうやむやな輩が多かったのか

為替のボラを理解できない顧客のリテラシーが低いのか

はたまたその組み合わせなのかはわかりませんがトラブルも多く、多くの銀行窓販や訪問販売で営業を止めていた影響もあるでしょう。(一時払い→貯金と一緒のようなものですから→為替円高→元本目減り→聞いてない!→トラブル→金融ADR、金融庁、消費者庁という面白いほど共通した流れ)

新たな資格試験制度の創出もある中で

これにより(試験の難易度にもよるが)購入できるチャネル(人)は減りそうですね。

(話が外れますが、業界で注目している鶏にまつわるネームの尊敬しているオトコは常々、試験が簡単すぎる、もっと難しくしろ、じゃないと業界が良くならない、と言っておりますがまさにその通りで、保険業界の地位向上を!とおっしゃってる方々がCFPとか1級FP、証券アナリストなどを取得しつつ生保大なども同水準のレベルに持っていってはいかがでしょうか。そんなに人も必要なくなるでしょうし。)

また今後のトレンドとして、ベンチマークとしている米国10年債利回りが下がり続けているので改めて予定利率が下がりそうです。

もし下がることになれば、駆け込み需要で一時的に数字が上がるとはいえ、外貨建て保険の売り上げ比率が高いプルデンシャル、ソニーなどは業績に中長期的に響いてくる可能性が高いでしょう。

また銀行窓口で販売されていたドル建てなどの一時払い商品も確実に売り止めになるでしょうから(これは2019年の円建て一時払いの販売中止などでも明らか)そのチャネル用に商品開発していた各社も戦略を見直すと思われます。(銀行窓口で保険=平準払に?!そんなスキルがない中で過酷な試練が起きそう)

大きく売り上げが下がった背景で最も影響が大きかったのは法人保険の税制改正であり、これによりいわゆる税理士チャネルと証券会社により積極的に推進、販売できていた“いわゆる節税保険もの”が一切できなくなっているようです。(そもそも税制改定による損金計上割合すらキャッチアップできていない募集資格をお持ちの方が多い)

日本生命→プラチナフェニックス

東京海上日動あんしん生命→災害保障期間付定期保険

朝日生命→グランドステージ

ネオファースト生命→ネオdeきぎょう

などでしょうか。この辺りの商品は年間の保険料で1兆弱あったと推察されますし(ちなみに一定の解約数が出たとしても2025~2027に解約返戻金が毎年5兆円程度発生する?ということについてはまた別途まとめたいと思っています)

今回の減収の中で、実は全体が下がったのではなく、

特定のチャネルの大幅な減縮

(銀行と証券会社と税理士事務所)

顧客のシフト

(好景気に沸いていた人たちが税制変更で選ばなくなり、かつコロナの影響などで解約 or 富裕層、純富裕層、資産形成層は証券、債券にシフトもしくは不動産の購入のために流動性を確保 )

が、招いたことではないでしょうか。

ちなみに、この流れは次の四半期(2020/4-6)で特に顕著に出てくると思います。

一方で伸びていくことが予想されるのは(個人保険に限定すると)

・保障性=いかに必要性を語れるか、伝えられるかと定期的なメンテナンス(いわゆる保全)/医療制度などの変化に伴い継続的なアップデートが必要な商品(医療、介護、がん)


・変額性の商品=生涯にわたる安全資産のポートフォリオとインフレなどへの対応も可能、同時に資産形成の一助となる、長生きにも対応できるなど

が保険営業としては鉄板でしょう。

払込期間なども大切な論点になってきそう(予定利率の低下により、別に短く払っときゃいいってもんでもなくなる)で、顧客一人一人の細かな設計を都度都度やっていく必要があり、見直しも定期的にできるようにメンテナンスできる状況にしておくある程度の自由度の高い内容にしておかないといけません。

この辺りは非常に上手にされている方々もいるのでいつか勉強会でもしていただきたい感じです。

今回の決算を見ていても過去の決算を見ていても保険業界にかかわらず世界はずっと変化をしてきました。その中でも次の波をうまく捉えられたところが次の変化までの中で急成長してくることができました。

現在の変化を受けれ、時代に合わせ顧客に合わせ自分をアップデートすることで、次のさらなる進化、成長につながると思います。

個人的にはテクノロジーに疎い営業は絶滅する機会だと思います。ある意味訪問販売は白亜紀後期のように大型恐竜たちが跋扈したように1億、2億と手数料を稼いでいた方々が今年で引退!という方もちらほら聞きます。

一方で哺乳類のネズミ(例えが悪すぎますが...)小さな体でも恒温と雑食というイノベーションを元に継続して氷河期を生き残ったものがのちの地球で大繁栄したように、デフォルトで必要になる能力が変わっていくでしょう。

現に個人保険でこのコロナの中、活躍されている方々においては移動時間がなくなることで劇的にワークライフバランスが好転したという事例をたくさん聞きます。

当然彼らもコロナ前の既存のやり方を絶妙に変えており、ここに新たな成功のNew Normalの一つがあることは間違いありません。

新たな武器が使えるようになった新たな環境でどう戦っていくか、考えるだけでもワクワクしてきます。

時代は新時代に突入した感がありますね。

ではこの辺で。


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