ドームでバトルを浴びる幸運について
『ハイキュー!!』という漫画が物凄く好きで、もともとスポーツも漫画も見るのが好きなのですが、『ハイキュー!!』はそのとてつもないハイブリットなエンタメ作品だと思ってます。
登場人物の中に佐久早という少し潔癖なキャラクターがいるのですが、彼が最後の方の試合の中で「研ぎ澄まされたものだけの窒息しそうなコートだ」「不快なものが無くてとてもいい」というモノローグを語るんです。
D.U.N.K. Showcaseのバトルを見たときに、これがぼんやり頭に浮かんだのを、YouTubeに公開されたLDHvsBMSG Dance Battleを見ていて思い出しました。
バトルだけでなくD.U.N.K. Showcaseという空間すべてに感じていたことですが、あれだけ商業的に大きなライブでありながら、余計な雑念や雑音が極限まで削られて、作り手や参加者のダンス&ボーカルシーンに対する思いに満ちた純度の高い空間だと感じられることに、心から感動しました。裏では分からないけれど、少なくとも私が体感した部分ではそう思えて、それで十分だなとも思います。
改めて動画を延々と見ていたら、爆裂に興奮したこのバトルについてちょっとだけ話を聞いてほしくなって、ブログを書きました。BMSGから参戦された皆様の知識は恥ずかしながらかなり乏しいため、LDHを好きなおたくのLDH側の参加者への感想のみとなってしまいますが、よろしくご査収ください。
2023年12月のD.U.N.K. ShowcaseにFANTASTICSとTHE JET BOY BANGERZという自分の中で激熱な二組が呼ばれて、事前番組でSKY-HIさんが「世界くんがいるんだよね、バトルやりたいな」みたいなこと(うろ覚えですみません)を言っていたときに、ファンタとTJBBがいるライブで実際にバトルが実現したらえらいことになるのはもう目に見えていて、でもそんなことが本当に可能なのか?とも思って、本当に実現して現地で見ることができたら脳ぶっ壊れるかもしれない、と思いました。そしたらバトルが本当に実現してしまったので、本当に脳がぶっ壊れる羽目になりました。
世界さん(EXILE/FANTASTICS)については今更言うまでもないですが、バトルに参加しているTJBBの6人は全員Dリーグというプロダンスリーグ所属で、バトルでギャンギャンに言わせていた人たちも多い、とのことです、私はその頃を知らないので伝聞や動画などで見聞きするだけです。
私個人の話で言うと、今現在TJBBのおかげで桑原巧光さんのダンスに出会って、「とにかく機会さえあればあのダンスを浴びたい」というほぼ飢えの状態になっていて、パフォーマンスを浴びることのできる場面にはできる範囲で足を運んで動画も見まくるぞ!みたいなことになっています。ただ、いわゆるダンスバトルで桑原巧光さんが戦う場面にこの先立ち会って生で見るということは、現在の、そして今後の様々な状況を鑑みて、かなり、相当、はちゃめちゃに難しいだろうな、というのをずっと考えてました。動画で見る桑原巧光さん(TAKUMIさん)のバトル、本当にどやばいんですよ、本当に。本当に!どうにかして生で見たいよーでもさすがにむずいよしょうがないよ。
だからこそ、そんな人たちが一緒に参加するバトルが、D.U.N.K.そして京セラドームなどというどでかい舞台で生で見ることが出来るなんて、あるとしたらそれはもう、なんなんでしょうね、幸運であり僥倖であり絶好の機会でありこの先二度とないかもしれない至上で至高の時間だと思いました。
そしたら実現しちゃうんだもんなー!凄くないですか!しかもLDHvsBMSGときた!リアルに勝敗のかかった大会などのダンスバトルとは違いますけれど、己のダンスをあの場で見ている人たちに、競い合う好敵手に、ぶつける、見せつける、誇る、という意味では、やはり広義でのダンスバトルであったのだと思います。思いたい。
とりあえずYouTubeのLDHvsBMSG Dance Battleをまだご覧になられていない場合は見ていただけたら嬉しいです。
以下はダンスにおいて素人な私の動画に沿った好き勝手な感想になりますので、とっても的外れなことを言っていたりするかもしれないです。もはやバトル動画にかこつけた各人のダンスに対するファンレターみたいになってますが、その辺の見苦しさはお目溢しいただけると助かります。
そもそも最初から、LDHチームというかバトルのトップバッターで出てきたのが古嶋滝さんなの良すぎるんですよ。
EXPOでも思ったけれど、滝くんは大きなステージでも何一つ負けないダンスを身に着けていることが本当に凄い。まだデビューして1年未満のグループで、Dリーグなどでの経験は豊富とはいえ、アリーナやドームなどの大きなステージを背負って踊るという経験はそんなにないんじゃないかと思います、滝くんのこれまでの経歴をあまり詳しく知らないのではっきりとは言えないけれど。
でも滝くんてTJBBのリリースイベントでの小さな舞台でもとてつもない存在感でとてつもない覇気でパフォーマンスをするので、普段と変えて大きな舞台に臨んでいるとかそういうレベルの話ではない気がする。多分滝くんは普段から、ショッピングモールの屋外の小さなステージでも、ドームで己を表現できるレベルのパフォーマンスを己に課しているのではないかなと思います。各会場ごとのサイズ感の違いとかもう関係ないんだろうな。
リリイベでパフォーマンスを見ていて滝くんが近くにくると、こちらの意志と関係なしに本当に否応なしに強引に視線を持っていかれることがあります。あの求心力は本当に凄まじくて、EXPOを一緒に見た別グループ推しの友人が「滝くんて凄いですね!?」と真っ先に言ってきたのも納得です。
D.U.N.K.でも、滝くんはいつものように見ている側の目をくぎ付けにするパワーと大きな体を使ったファニーで目を引く動きで先陣を切ってて最高だなと思います。先陣を切るのがこんなに似合う人もなかなかいないし、先陣切ってくれてこんなに頼もしい人もいない。
NOSUKEくんは本当に人(と書いてニンと読みたい)の出るダンスをする人だと思っていて、小粋で型破りでバイブス満タンなNOSUKEくんだからこそのダンスをかましていて本当にかっこいい。
落語やお笑いを見ていると、ネタや噺以前にその人から滲み出る愛嬌やおかしみ、愛される空気、みたいなものがどれほど大事で貴重なものか、というようなことをよく思わされるんですけど(落語でいうとフラというやつ)NOSUKEくんを見ているとまさにこのフラというのを思い出します。努力や経験ではおいそれと習得できないもの。天性なんですよね。すごい。そういうのを全部ひっくるめて、NOSUKEくんてひたすらに「イケてる」んだよなー!と思います。
ライブ当日アリーナの離れたところから見ていたせいで、この後の4人で合わせてるところ、LUX組の3人で合わせてるんだと思い込んでたんですけど、配信見たら完全に蒼虎くんもいて4人で合わせにきてました。思い込みもあって完全に見間違えました、申し訳ありません。NOSUKEくんのバカでかい動きからするっと3人が入ってきて爆裂に相手を煽って終わるの、かっこいいしかない。
全員の装填音での発砲スタイルからの陽くんのダンス、一気に上がりきる様が強くてかっこよくて目が喜びます。この中で比べたらちょっと小柄なのかもですけど、その分内面から溢れるどころか発散されてる負けん気の強さが一挙手一投足から伝わってくるのが最高だなと思います。
陽くんて本当にメンタルの男前度がバカ高いなといつも思っていて、どんな場面でも芯がブレないイメージがある。いつでも安定して客側へ最高のアピールを最高の表情で自然と堂々とやってのけるので、いつだって大喜びしてしまう。男気があるのに愛嬌も満タンで、貪欲且つ柔軟、かわいいとかっこいいの境界をあまりにも軽々と行き来して、圧巻のふり幅で見る側を気持ちよく翻弄してくれる。天才的なアイドル様枠です私の中では。バトルでもサングラスを使ったアピールをさらっとやってて良すぎる。
陽くんがくるくる回る後ろでフロアからの倒立でセンターに出てくる蒼虎くんのバカかっこよさ!この入りやばすぎますよね、インパクトだけで爆上がりしてしまう。
ハウスというスタイルからアクロバットまで、TJBBにおいてもひと際引力が強くて、本当にグループにしげちゃんがいてくれてこんなに頼もしいことはないです。しげちゃんにも、今まで積み重ねて磨いてきた己への自負みたいなものをダンスから強烈に感じることがあります。絶対誰にも負けないぞという一級品の武器を持つ人だなという印象です。平場で話していると年相応のゆるっとしたなごみ成分に溢れているけれど、ダンスでそういう研ぎ澄まされたものを感じさせてくれるのでワクワクしかない。
これはイメージですけど、しげちゃんていつ踊っててもすごく楽しそうだなと思います。真剣な顔して踊ってても超楽しそうだな!と思う。すごく楽しそうに、物凄いことをやってのけるので本当にかっこよすぎる。最後のフロアの使い方、簡単に凄いことやってる感あって本当に強い。
その後で、ばーっとセンターに躍り出て、そこから静の動きで始まる彰さんの登場シーンが、もうそれだけで問答無用に意識を持っていかれてとんでもないです。
一度すっとその場を落ち着けるように立ってジャケットを一回動かして、自分の空気を作り上げてからダンスに入っていくのが、あまりにも歴戦の猛者の佇まいです。しかもこの最初の一連全部音を取ってるんですよねー気持ち良すぎる!
彰さんのダンスの凄さは星の数ほどあると思うけど、とにかく品と色気があるのが大好きです。このバトルの時もひたすらオシャレでしなやかで、表情や仕草でユーモアを交える大人の余裕も見せてくれる。バトルの時に見える心を打つ遊びほどかっこいいものはなかなか無いです。ゴリゴリに勝ちを奪いにくる人たちの中で、彰さんの佇まいは異様なくらいに浮き上がって、記憶にこびり付いてしまう。そのくせ敵陣に向かって自分のダンスで煽っていくあたりの、戦うという心意気も同じだけ感じさせてくれる。本当に凄い。
BMSGさん側全員のムーブにLDH側ものっかっていくところ、ここで異様なグルーヴ感が出てて最高すぎるんですけど、全員参加と思いきや世界さんだけ棒立ちで回りで踊りまくる人たちを眺めてるの、あまりにもラスボスの貫禄……こんなの嫌いなおたくいません!
ハイジャンプからの入りで沸かしてくる澤本夏輝さん、良すぎるあまり見るたびに湧き散らかしてしまう。
そもそもこのLDHチームにいるFANTASTICSが世界さんと澤さんという時点で、あの日の私は頭がぶっ壊れるんじゃないかというくらい興奮しました。澤さんなんだ!いや、確かにこうして見たら澤さんだな!と思うんですが、そうか、世界さんと澤さんなのだなあ、と、本当にこれをずっと噛み締めています。許されるならこのチーム編成を請け負ったという世界さんに、澤さん選出の理由を聞いてみたいです。澤さんの経歴を深く知らないのですが、実はバトル経験豊富だったりするんだろうか。有識者の方に教えていただきたいです。
澤さんこそ、このバトルの場において一番独特の空気感を持っているように思えます。きれいで隙がなくオシャレで伸びやかな、時にやんちゃでわんぱくで、時に爆裂な色香を漂わせるFANTASTICSの澤さんのダンスが本当に大好きなのですが、バトルの澤さんはまたちょっと違った魅力で最高です。型を破るような、ばっと弾けるような勢いがあって、でも足腕指の動きはどこか優雅さも湛えていて、そんなことが可能なんだ!?
過去に見たDTとかLIVE×ONLINEのハロウィンライブ(懐かしすぎる)でのパフォーマーショーケースとかで、とにかく印象に残っているのが、澤さんの踊りの入り方が独特でオシャレなんですよね。カウント手前でまずターン3回転してから最初のカウントに入っていったりする。オシャレすぎる。
このバトルでもとんでもない高さから飛び込んでいく(ドルフィンという技で合ってます?違う気もする)のを二連発からダンスに入っていくの、かなり予想外で驚きがすごかったです。また本当にとんでもない高さから飛び込んでいく。ドームのステージに映えまくり。澤さんがFANTASTICSのOverflowという曲のサビでとんでもない高さのジャンプをするんですが、高く飛びすぎて降りて来る前に次のカウントが来てしまうのが大好きでして。そしてバトルでもあの人は飛ぶのですね。羽でも生えてるのかもしれない。後半も余裕をしっかり残しながら、相手を軽やかにあしらうみたいなそぶりを見せながら、手足の長さが映えまくるダンスで、大好きです。告白した。
彰さんと巧光くんが二人合わせて出てくるところ、もうこの時点でどうしようもなくやばいです。それこそ二人ですっと出てきたのにムーブはアニメーションぽい静かな入りなの、ちょっと強すぎる。ドームで、あの場で、どうしたって気負ってしまいそうなのに、静かで、でも明らかに何か凄いことは行われていて、嵐の前の静けさのようなものさえ感じて、二人の領域展開だ!と思ってしまったんですよね凄すぎて。二人とも登場しただけで場の空気を変えることのできるダンサーなのに、それが二人して領域展開してくるのはもうずるい。LegitでもTJBBでもひたすら踊りこんでる二人の呼吸に痺れ倒してしまう。背中合わせのところとか、もうまさにそれでした。
巧光くんが人差し指を小さく揺らしてから不敵に微笑む姿、これはもうだめです、こんな最高なシーンを大好きなパフォーマーで見られたらこの先の人生に思い残すことがなくなってしまう。配信が始まって動画が公開されてからこのバトルを死ぬほど見てますが、見るたびに声が出てしまうので本当にだめなのだと思います。
巧光くんのダンスの、精密さと大胆さが信じがたいほどナチュラルに共存する様が大好きです。冒頭の彰さんと並んだときの、あの舞台でぞっとするくらい静謐な佇まいでダンスに入っていくのが好きすぎて観てるだけでどうにかなりそう。そこから自分のソロが始まる瞬間の爆発力。演出力もとんでもないんですこの人。緩急と口で言うのは簡単だけど、実際にそれを実現してのけるのは並大抵のことではない、ように見えます。ご自分をダンスで演出する術に恐ろしく長けている。
巧光くんのターン、メインで聞こえる音も、音の裏側にある音も、巧光くんのダンスで具現化されていくのがとてつもないです。多分曲だけ聴いていたら通り過ぎて聴き逃してしまう音が、巧光くんの動きでそこにあるんだと気付かされる。それどころかその音の質感まで与えてくれて、凄すぎて何度見ても夢でも見てるのかと思います。
カラカラと軽い音はどこか空虚で無機質な動きだし、重い音はビリビリとした空気の振動まで伝わってくるような気がします。こすれるような音のところどやばすぎますよね、そりゃ周りも会場もどっと沸きます。音と巧光くんが一体化して重なってるんじゃないかと思えます。何がどうなったらこれができてしまうのか。音楽があってリズムがあって音の質感があって、それごとに形を与えることのできるその身体と技術と、それを使ってどう表現するかが自由自在になる表現力、どれが損なわれてもこのダンスはできないのだと思うと、本当に何なんでしょうか桑原巧光という人は。
一つ前のブログのエントリーで、桑原巧光さんについて「耳の良さやその音を実際に表現可能なその体とスキルが全部ひとりの人間の中に存在していることが凄い」みたいなことを書いたのですが、後からこれ違うよなーと思ったんです。最初から全てが存在している訳がないんです。耳や身体に恵まれた人が、その恵まれた能力で感じる音楽を己が思う理想の表現とするために、スキルや発想力を恐ろしい努力で身につけている、というのが正しいんじゃないかと思いました。本当に凄い。
そして何より、このバトルでご本人が本当に楽しそうでイキイキしているのが最高です。ああもう本当にバトル楽しいんだなーと思います。これを生で見ることができたの、多分数年先まで引きずる気がします。
この直後のSOTAさんと桑原巧光さんのターン、神々の遊びめいた凄味があってたまらないです。
ラスボス世界さん、もう私が何を今更語るのも無粋だわ!と思うのですが、それにしたってやばすぎます。余裕あふれた佇まいであっさり出てきて凄いことやってあっさり去っていくの、かっこよさの極地。
ベテラン漫才師のかっこよさとしてたまに、「何も持たず身ひとつで劇場にやってきて、そのまま舞台に出ていって漫才で爆笑をかっさらって、終わったらそのまま身一つで帰っていく」みたいなのを耳にすることがありまして、世界さんのDTなんかを見るとこれを思い出します。当たり前のことかもしれないんですけど、そのくらい世界さんには踊るという行為が染み付いていて、呼吸と同じくらい当たり前に踊るよなあと。生活や人生とその人の技能がイコールになっているような人特有の時間・思考の積み重ねに、とてつもない凄まじさを感じます。
Jettin'のムーブを全員で繰り出した直後の世界さんが本当に最高にどやばいので、見るたびに頭の中で悲鳴を上げています。
何度も言いますが、本当にD.U.N.K.でバトルに立ち会えたこと、ひたすらに僥倖だったと思います。SKY-HIさんに感謝だし、これだけのものを見せてくれた両陣営のダンサーの皆様にも感謝です。動画で残っていて我々が今この瞬間もこのステージを見ることができるのも感謝しかない。
とにかくせっかくYoutubeで誰もが見られる状態なので、是非とも見ていただいて、あわよくばD.U.N.K. Showcaseの配信自体も見ていただいて。このエントリではバトルのことしか話してないですが、D.U.N.K. Showcaseというライブそのものがとてつもなく最高ライブだったのは間違いないです。まさに「研ぎ澄まされたものだけの窒息しそうな」ライブです。
そして出来ることならFANTASTICSとTHE JET BOY BANGERZを好きになっていただけたとしたら、何より最高です。ファンタちゃんは2月からアリーナツアーが始まりますし、TJBBもリリースイベントがあったり、パフォーマーはみんなDリーグというプロダンスリーグに参加しています。彼らの最高のパフォーマンスを浴びることのできる機会は結構あります。これも多分僥倖なので、ぜひとも前のめりに検討いただきたいです。
このブログのかっこいい終わり方がまったく思いつかなかったので、先日公開されたTJBBの新曲MVを貼って終わりたいと思います!