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ショートショート「神様時計」

今回、こちらのショートショートのお題に参加してみました。


神様時計

若い夫婦が古い時計をぽいっと捨てた。百年前から家にあった時計でまだ動くのだが、頻繁に止まるしカビ臭いしカッコ悪いし。

だが、古い時計はまだ生きていた。
すると神様が現れ、時計に言った。

「そなたは長い間、家の者に時刻を知らせる素晴らしい役割を担っていた。だから神の力を与えよう。生き物の時間を進めたり戻せたりする力だ。そなたを捨てた夫婦の時を一気に進め、年寄りにできるぞ」

古い時計は言った。

「では私の心を百年前に戻してください。私を大切にしてくれた人々のことをはっきり思い出し、優しい思い出を抱いて眠りたい。仕返しに興味はありません」

神様は時計を天国に連れて行き、力を与えた。

時計は、神様が自分を助けてくれたように他の生き物を助けようと思った。

私たちが、挫けそうなときに昔の楽しい記憶を思い出せたり、夢が叶った未来の嬉しさを想像できるのは、このように誕生した神様時計が、私たちの心の針を動かす手伝いをしてくれているからなのだ。

*****終わり*****

読んでくださってありがとうございました。
410字程度で書くのって難しいですね。「書いたけど800字だよちょっとオーバーしたなハハハ(ちょっとじゃない)」、という失敗と試行錯誤を何度も繰り返しました。
でも楽しかったです。
参加させていただき、ありがとうございました。

そして見出し画像も描きました。大きなのっぽの古時計ですね。
えっ、下の丸はドーナッツですか?ですって?
ハハハ、こやつぅ。
・・・
・・・
精進します、すみません…。

Historical clock