「ジョンティ」富田裕之さん、4月22日の答。
―お弁当の「じょん亭」と、持ち帰りの「ジョンティ」―
東京で10年。2020年5月で11周年になる、アルザス料理店「ジョンティ」。オーナーの富田裕之さんは、誰よりも早く危機に備え感染予防に力を注いでいた。「お店は開けるが、無理して来てほしくない」という正直な心の答は、お弁当の店「じょん亭」。ナイスなネーミングでみんなをくすっとさせながら、アラフィフのチームが難局をサバイブする。
レストランは危険な場所にもなり得る
コロナ以前の1月、お客さんのインフルエンザをスタッフ5人中4人がもらってしまって、何日間か臨時休業になったんです。
満席の予約を一軒一軒お断りするのもつらいし、身体もきついし、本当に大変だった。
「感染症って予防接種していても防げないんだ」「レストランは、お客さんの利用の仕方と僕らの準備次第では、危険な場所にもなり得るんだ」。その現実と気づき、二つが骨身にしみました。
それで「ジョンティ」では、コロナの影を感じ始めた1月末からすでにマスク着用でサービスを始め、入口にアルコール消毒液も設置。3月頭にはウイルスに負けない体力を温存するため、スタッフの休憩時間を十分に確保して対策をしていました。
早かったと思います。みんなが「中国は大変みたいだね」なんてのんびり言ってる頃から、僕は絶対にいつか日本へくると思っていた。中国からイタリアへ移り、ヨーロッパへ広がった、その状況を見て備えておかないと自分たちも危ないって。
振り返れば、早く気づいていたんだから、早く「みんな危ないぞ、備えよう」って発信すればよかったっていう後悔もあります。でも当時は、危機感をあおるとほかのお店に迷惑がかかると思ったんです。
キャンセルはどうぞご遠慮無く
案の定、東京オリンピックの延期が決まった途端に、日本でもどんどん増えていきましたよね。
僕は一刻も早くロックダウンしてほしかった。でもなかなか出ないなか、「じゃあ自分の店をロックダウンしよう」とも考えました。完全休業ですね。
「いざという時のために、借金なしで乗り越えられる資金は蓄えておきなさい」と経営者の先輩方からアドバイスいただいていたので、3カ月なら家賃と、全員にお給料を支払える余力は残しています。
でも、結局その時は踏み切れなかった。
長引きそうだと思ったからです。今休業して、3カ月以内に収束しなかったら?再開したタイミングで本当の(国や都の)ロックダウンが始まってしまったら?
そう考えると、このカードを使うのは〝今〟じゃない。
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