「パッソ・ア・パッソ」有馬邦明さん、5月7日の答。
―ご近所営業―
イタリア料理店「パッソ ア パッソ」は門前仲町で18年。有馬邦明シェフは自ら日本各地へ足を運び、生産者たちと交わってきた。一方で祭りを愛し、町会のゴミ拾いにも参加する地元密着の人でもある。地に足をつけ、身の丈を信条とするシェフの答は、街への思いに溢れていた。
いつだって、明日はどうなるかわからない
こんな経験はもちろん、誰もがまったくしたことなんてないですよね。どうすればいいかなんて、わからない。
わからないけど、そのなかで今、自分たちができることはなんだろう?
少しでもいい方へ向かうには、どうしたらいいんだろう?
ということを、ずっと考えていました。
僕は料理人なので、できることといえば料理です。料理で人を元気にしたい、そう思ってこれまで仕事をしてきました。
しかし3月下旬からは国や都が「週末の外出自粛」「夜間の外出自粛」を訴えるなか、それを続けていいのか。
4月に入ると急に予約のキャンセルも増えましたが、ご連絡がなく、残っていた予約もあります。緊急事態宣言も発令前で、営業か休業かは、それぞれのお店の判断に委ねられていた時期です。
どうすべきか。僕は、今は休まなきゃいけないと判断しました。
もちろん売上がなくなっても家賃、人件費、光熱費、材料費といった固定費はのしかかってくるのに、補償はありません。でも、それでも休業すべきだと思いました。
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