「オルランド」小串貴昌さん、5月23日の答。
―営業+親切すぎないテイクアウト―
自称、わがまま。「オルランド」オーナーシェフの小串貴昌さんは、自分がしたいことしかしない。だから誰のせいにもしない。と言うけれど、その行動は案外、誰かのためだったりもする。人の心を楽しくさせるため、今がおいしい野菜を余らせないために考えた、親切すぎないテイクアウト。
ハードルを微妙に上げてあげる
テイクアウトは4月8日(緊急事態宣言の翌日)から始めて、最初はパスタ5種類、前菜とメインで計3種類くらいだったんです。
でも俺の癖で、足りないんじゃないか?もっと何かできるんじゃないか?って、徐々に品数もボリュームも増えてっちゃいました。
仕上げを家でやってもらう、あえて自分で作る余地を残したテイクアウトです。だってステイホームで、皿に盛ったり温めたりしない冷たい料理って、余計心が寂しくなりませんか?
うちでは、たとえば真空パックでパスタの「ソース」は売る。でも、パスタは家にある好きなものでどうぞ、という方式。
このソースならスパゲッティかな?ペンネのほうが合うかも?って考えたほうが楽しくなれるから。
パスタをゆでて、ソースは温めて、皿に盛る。それだけなんだけど、ハードルを微妙に上げてあげると、自分でやった感、達成感が生まれるんですよ。
自家製の「パスタのふりかけ」もそういうことです。
イタリアで古くから、チーズの代わりにかけていた〝モリーカ〟というカリカリのパン粉があるんですけど、それを基本にしています。アンチョビ、アーモンドで味を強くして、かけるだけ、混ぜるだけですよ、と。
するとバリエーションが広がるでしょ。半分はパスタと和えて、半分は蒸したじゃがいもやサラダにかけてもいいし。
いろいろ使ってほしいから全部2人前ずつパックしています。
また、アイデアの参考になるように、コロナ期間中にインスタグラムでレシピを公開し始めたら、フォロワーが1000人増えたんですよ。まぁ、コロナ後は消えるかもしれませんけどね。
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