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「ワルツ」大山恭弘さん、5月26日の答。

―静かな暮らし―

「バー」への要請は、時短ではなく完全休業。「Wine Stand Waltz(ワイン スタンド ワルツ)」が店を閉めて2カ月あまりになる。売上はないが、しかし家族3人の静かな暮らしは可能。店主、大山恭弘さんがコロナ以前から選んでいた、従業員なし、小さな店という「背負わない」強さ。

背負わない道を選んだ

「ワルツ」はもう2カ月近く、4月1日の水曜日から休んでいます
3月31日までは普通に営業していました。うちは小池さんの会見でもあまり影響はなくて、むしろ時間帯によっては混み合っていたくらい。

緊急事態宣言がある、ないと騒がれていた頃で、なかなか発令されないし「どうしたらいいんだろう?」と思いながら開けていた感じです。

31日の営業が終わったあとですね、ストップなのかなって漠然と感じたんです。お客さんが減ったわけでもないし、当時はすごく危機感があったわけでもない。
ただ、ちょうど新年度の4月だし、2週間くらい様子を見てみようかと。休んでいる間に緊急事態宣言があったので、じゃあ解除されるまで、ということにしました。

まだ休業要請も補償もありませんでしたが、だからお店を閉められないってことはなかったです。閉めたら数カ月で潰れてしまう、という経営はしてこなかったから。
でもそれは、僕一人でやっているお店だから、ということが大きいと思います。従業員もいないし、お店も4坪とごく小さいので。

従業員が10人くらいいれば、人件費が300万円くらいかかると聞いたことがあります。お店がそれなりの広さなら、家賃の負担も増えるでしょう。すると、背負うものが大きくなりますよね。


僕は独立してから、従業員を雇ったことがないんです。父親が経営者で、「1人雇う時、もしその人に奥さんと子どもが2人いるなら、4人を養っていくつもりでなければいけない」と言われていたから。ってことは、5人雇ってみんな4人家族なら20人。だったら、今の僕には無理だなと思って。

たくさんのスタッフと働く楽しさも知っているし、憧れたりもしますけれど、でも一人の小さい店って利益も少ない代わりに、負担やリスクも少ないというか。〝今のところ〟そっちのほうを僕は選んだ

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