「イタリア料理 樋渡」原 耕平さん、4月15日の答。
―休業のち、再開―
創業88年の老舗の次は、オープンしてたった半年の新店「イタリア料理 樋渡(ひわたし)」。やっと軌道に乗ってきた矢先のできごとに、オーナーシェフの原 耕平さんはいったん、店を閉じた。しかし約2週間の休業ののち、4月16日より短縮、ワンオペによる営業を再開。彼はなぜ、このタイミングで店を開けたのか?
お客さんに相談したら
休業は4月1日から15日まで2週間ほど。16日から再開です。休業の前と後とでは、一皮むけたと言いますか、僕は大きく変わったと思います。
まずは休業前の経緯から話しますね。
2月24日、同世代の料理人仲間4人によるユニット「ヨニングミ」のイベントを開催しました。政府がイベントの中止や延期を要請する2日前で、今思えばギリギリのタイミングでしたね。参加者は100名以上になりました。
3月に入っても影響はそれほどなかったです。うちはグループのお客さんが少ないせいもあるかもしれませんね。
でも11日は、2019年10月1日の開業以来、2度めのノーゲスト。1〜2月が好調だっただけにショックでしたけど、翌日は満席に戻ったり……アップダウンを繰り返すようになっていきました。
本来なら食材も春めいて、うきうきと盛り上がってくる時季なのにな、と。せめてお客さんには気分を上げてもらおう、と春を感じる花を活けたり。
でも25日(24日に東京オリンピック延期が決定、25日に都知事の週末外出自粛要請)を境に、ノーゲストに慣れてしまうくらい、増えたんです。
僕自身、店を開けていいのか悩み始めて、けど国からロックダウンなどの発表はないし。
そこで、キャンセルの連絡がないお客さんに電話をして、相談してみました。「こういう状況ですけど、どうされますか?」って。
すると、みなさんあっけらかんと「あ、行くつもりでいたんですけど」なんておっしゃる。ちょっと意表を突かれるくらいに。
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