BS世界のドキュメンタリー「見えざる病原体」(Nnseen enemy・アメリカ /ドイツ2017年)の感想

とても衝撃的な番組でした。エボラ出血熱の患者や、ジカ熱の影響を受けた赤ちゃん、SARSの感染源となった食用の猿、今回の新型コロナウイルスが発生したとされる中国の食肉加工市場の実態などが映像で現れ、この番組が発した注意喚起に、なぜもっと真剣に取り組まなかったのか、と思います。その役目をはたすのがWHO(世界保険機構)だったと思うのですが、機能していなかったといわざるを得ないのではないかと思います。

実は4〜5年前から疫学者の間では、近いうちに世界的パンデミックが起きることが予想されていたそうです。グローバル化による世界的な人の移動と人口の密集、自然破壊がその原因で、近年のエボラ出血熱やSARS、鳥インフルエンザ、豚コレラ、ジカ熱、インフルエンザなどの流行がその兆しだったそうです。そして新しいウイルスがコウモリを感染源とし、野生動物を売買する中国の不衛生な食肉市場で培養されることまで予見されていたことに驚きました。その食肉市場の映像も流れていましたが、驚くほどの不衛生さで驚きました。近代化を進め、高層ビルが立ち並ぶ中国ですが、食肉市場の衛生指導も徹底して欲しかったと思います。

最後に、エボラ出血熱と戦い、現在は国際的な支援もあって押さえ込むことに成功している若いリベリアの医師の言葉が印象的でした。「人にはその人を生き延びさせる固有の何かがあって、それは人によって違う。重症なのに治る人もいれば、大したことがないのに亡くなる人もいる。それはなぜだろうといつも考えます。」

発生しているのが一部の地域なら、他の地域から支援にいけますが、現在の新型コロナウイルスは、世界各地、先進国でも広がっています。イタリアやスペインが危機的な状況ですが、アメリカもイギリスもドイツも日本も、自国のことでいっぱいいっぱいで、支援に行くことができません。

しかし世界がこんな状態なのに、日本海に飛翔隊を撃つ北朝鮮や、尖閣諸島周辺に領海侵犯をくりかえす中国は、まったく何考えているんでしょうね?


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