何のために勉強するのか
「こんなの覚えて将来何の役に立つのか分からない」
「5教科はともかく、副教科とか、本当に時間のムダ」
英会話教室で指導しているときによく聞く中高生のセリフですね。
確かに一理あります。
私自身、英語に関しては今それを職業としているので、英語に費やした時間は一応報われているかと思います。が、中学高校時代に数学や化学、漢文や古典、副教科に費やしたあの膨大な時間は、今の私の中で一体どんな役割を果たしているのかと考えると、情けなく感じるときもあります。
あんなに何冊も古文単語帳を使って暗記した古文もとっさに頭に思い浮かぶのは「いとおかし」だけ、歴史といえば「1192つくろう鎌倉幕府」だけというレベルのポンコツぶりです。
何のために勉強しているのかはっきりしないまま、とりあえずテスト対策のため暗記ばかりした結果、本来教養として残るべき内容が頭に全く残っていないのです。
つまり、目的のないままただ漠然と
「試験でいい成績を取るため」
に勉強していたように感じます。
試験でいい成績を取ることが、次の更に大きな目的のためにつながっていることが明確に分かっていれば問題ないのですが、かつての私、そして多くの中高生達のように、まるで
「試験でいい成績を取ることが最終目標」
のような認識ではいけないということなのだと思います。
同じような方も多いのではと思いますので、私の失敗を元に、今になってみて思うことを…。
勉強をする理由は沢山あると思います。
人によってそれぞれでしょうが
「将来の夢を叶えるため」
が1番の理由になる人が多いのではないでしょうか。
特に医師や研究者や教師など、学校教育と結びつきの強い将来の夢を持つ人はその夢に向かって素直に勉強に向き合えますね。
ではその他の人たちはどんな理由で勉強すればいいのでしょう?
「いい成績を取っていい大学に入り、将来いい仕事に就くため」
「社会人としての一般教養を身につけるため」
「将来アーティストとかYouTuberみたいな、勉強とは直接関係のない夢が叶わなかった場合の保険として」
これらも一見消極的に聞こえますが、現実的に将来を見据えた立派な理由だと思います。
そして、まだ将来の夢が定まっていない人も中高生では沢山いると思います。
そういう人は
「まだ自分は将来の夢が定かでないけれども、可能性を広げるための下地として勉強する」
と考えてみてはいかがでしょうか。
今はまだ定かでなくても、いつかふと自分の夢を見つけたとき、何の知識もないよりは、きちんとした教養や学歴という下地がある方が、その夢に近づくチャンスは断然大きいはずです。
そしてそのためには一見無駄に感じる勉強も、将来何とどう繋がるか分かりませんし、そこはもう
「いい成績を取るため」と割り切って勉強するのもアリだと思います。
正直、興味もないのに無理やり覚えた内容は長期記憶としては頭に残りにくいかもしれませんが
興味があろうがなかろうが
「必要な勉強は割り切って淡々とこなし、必要な成績をしっかりと出す能力」
は、将来どんな職業につくにせよ間違いなく必要になるスキルだと思います。
是非、直前のテストことだけでなく、もっと大きな画面で人生を眺めて、最終目標を意識した勉強をしてみてください。
自分が何をしたいのかまだ明確でない人も、まだ勉強に意味を見出せない人も、焦る必要はありません。誰かに「こうだから勉強しないといけない」と決めつけられて納得するものでもありません。
人生で何千、何万時間も費やす勉強は、果たして何のためにするのか、ということはとてもとても大事なことなので、ゆっくりと時間をかけて納得のいく
「自分なりの答え」
を出せばいいのだと思います。
子供さんに「なんのために勉強するの?」
と聞かれても、即答することなんてどの親御さんにもきっと出来ませんよね?
「凄いことに気がついたね。じゃあ、一緒に考えてみようか」
って言ってあげるのもいいと思います。
答えがまだ出ていない人も、一見将来に直接関係のなさそうな勉強でも、やってもムダと決めつけたり、やらない言い訳にしたりせず、しっかりと向き合って欲しいと思います。
明るい未来を想像しつつ、どうせ勉強するなら前向きな気持ちで取り組みましょう。
勉強は分かってくると意外と楽しいものですよ。
そして、英語に関しては
「英語が分からない人生よりも分かる人生の方が便利で楽しい」
のは間違いないと思います。
コロナ禍での受験シーズン突入となりますが、皆さん後悔のないよう全力を尽くして下さいね。