荷風散人 五十八才 記

虚月二十四日の夜わが家に連れ来りし女とは
身上ばなしの哀れなるにやや興味を牽きしが
これ恐らくはわが生涯にて閨中の快楽を恣に
せし最終の女なるべし。

昭和十一年(1936)二月二十四日 

      荷風散人 五十八才

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