「認知症の人が働くことについて」 -認知症とともによりよく生きる -

 認知症の人と家族の会福岡県支部の月刊広報誌「たんぽぽ」に「認知症とともによりよく生きる」という連載を行っています。今回、許可をいただいてnoteにも転載することとしました。 
 こちらの記事は、2021年10月号に掲載されたものです。

 突然ですが質問です。幸せはどのようにしてえられるとお考えですか?

 日本理化学工業の工場敷地内には「働く幸せの像」が立っていて、「導師は人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされること、の4つと言われました。働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ。私はその愛までも得られると思う。」という言葉が刻まれているそうです(大山泰弘 働く幸せ 仕事で一番大切なこと WAVE出版 2009年 より)。また、2012年に権威ある国際医学雑誌に発表された論文によると、アルツハイマー型認知症の人では、時間経過によって脳の病理変化が進むなかで、生きがいの感じられる生活が送れていれば認知機能の低下が緩やかになるという報告もされています。

 こういった中で、認知症の人が働くことに注目が集まっています。東京都町田市にあるDAYS BLG!では、デイサービスの活動として有償ボランティアや地域のためのボランティア活動などが行われています。私も一度見学に伺いましたが、その日に集まったメンバーで近くのカーディーラーでの洗車作業や、フリーペーパーのポスティングなど、好きなチームに分かれて生き生きと働かれている様子が印象に残りました。大牟田市では、ヤマト運輸がメール便をデイサービスにまとめて持ってきて、デイサービスの利用者がそのメール便を近所の個人宅や病院に届けるという有償ボランティアが行われており、福岡市にあるシティケア長住のデイサービスでは、デイサービスに参加されている方がもともと得意だったことを生かしてハンドメイドの商品を作り「Roren」というブランドで販売会などをされています。

 前回の記事でもお伝えしたように福岡市が「オレンジ人材バンク」を立ち上げました。今後、さまざまな仕事が応募される見込みがあり、認知症が軽度の人から重度の人まで、多くの認知症の人の登録が求められているようです。オレンジ人材バンクを通じて、多くの認知症の人に働く幸せを感じ、生きがいを持って生活をして欲しいと考えています。オレンジ人材バンクに興味を持たれた方は、福岡市役所認知症支援課(092-711-4891)までお問い合わせください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?