丹野智文さん新書「認知症の私から見える社会」について -認知症とともによりよく生きる -

 認知症の人と家族の会福岡県支部の月刊広報誌「たんぽぽ」に「認知症とともによりよく生きる」という連載を行っています。今回、許可をいただいてnoteにも転載することとしました。 
 こちらの記事は、2021年12月号に掲載されたものです。

 認知症の人と家族の会に所属されている人であれば、丹野智文さんのことはご存知だと思います。丹野さんが新書で「認知症の私から見える社会」を出版されました。

 この本は、認知症の人ご本人と、認知症の人のご家族にこそ読んで欲しい内容になっていると感じたため、今回のテーマとしました。

 丹野さんはご自身が認知症と診断されて8年が経ち、これまで300人を超える当事者と話をしてこられたということで、その対話の内容が本書の中心になっています。丹野さんをご存知の人の中には、「丹野さんは特別だ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本書で書かれているのは丹野さんのことではなく、丹野さんが話を聞いてきた他の当事者のお話です。もちろん、認知症に伴う認知機能障害や生活障害は人それぞれずいぶん違うと思いますが、きっとみなさんが置かれている状況と近い方のお話もあると思います。第一章は、「認知症の人たちの言葉から」として、当事者が語った具体的な言葉が綴られています。また、第五章では「工夫することは生きること」として、忘れることに備える工夫、持ち物がわからなかくなることを防ぐ工夫、お出かけしやすくなる工夫、外出を楽しむための工夫、着替えの時の工夫、同じものをいくつも買うのが困るなら、など20個ほどの具体的な工夫が挙げられています。その他の章の題名だけあげておくと、第二章「認知症の人の目の前にある現実」、第三章「やさしさという勘違い」、第四章「あきらめという問題」、第六章「認知症と共に生きる」となっています。

 認知症の人ご本人が希望を持ち、認知症の人のご家族が日常の接し方などについて考えるとても良い機会になると思います。ぜひお読みください。


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