言語化は第2のペップになる近道?
こんにちは。しばらく間が空いてしまい申し訳ないです。もっとコンスタントに発信していけるように努めていきます。
では早速、今回のテーマに移りたいと思います。
今回は私の考える「理想のフットボール」について、そしてそれに付随して「実現するための指導プロセス」にも触れていこうと思います。この先試合のレビュー等もアップしていく予定ですが、私はただ1試合で何があったかを分単位で話すつもりはありません。(自信もないので笑)その代わりあるシーンや部分的なものを切り取って「自分ならこうした」という切り口から分析を行っていく予定です。なので私が日頃サッカーをどの目線から見て、どう指導へ落とし込もうと考えているかが今日のテーマとも言えそうです。
※当然かも知れませんがこれを書くにあたり、書籍など読んだ内容をそのまま引用はしていません。そういった書籍や記事、選手や監督の発言を取り入れながら今のありのままの自分の知識、何試合もの試合を見て直接感じたこと肉付けして書いています。
最優先事項は「得点を取ること」
私の考える理想のサッカーとは至ってシンプルで、点を取るのがサッカーであってそこに醍醐味があると考えています。とは言っても守備をおろそかにするわけではなく、攻撃のための守備だと考え、守備は攻撃をするための手段だと捉えています。なぜなら点を取られても点を取り返せば勝負に勝つことはできますよね。
では具体的にどんなサッカーをすれば得点を取れるのか。難しいですよねー。分かればブログなんか書かずに監督になっているわけですが。ですので言い方を変えてみます。
「どんなプレーをすれば得点の確率が上がるのか」
これについて話していこうと思います。そして少し複雑な話になりますが、段階を踏んで説明していきます。
まずサッカーとはあくまでゴールを決めて相手に勝つことが目的なのを大前提として、いかに相手を攻略するための有効的な方法を用いるか、これが指導者の役割だと私は思っています。
極端ですがフィールドプレーヤー10人を自陣深くまで押し下げ粘り強く戦い、ワンチャンスを伺う。少ない機会でゴールを狙い試合に勝ってしまえばこれでいいわけです。しかし試合に勝てる確率はぐっと下がります。なぜなら得点を奪う確率もまた低くなるからです。
どんな相手でも攻める。そして点を取る。これが私の根幹にあるといえます。守備的な戦い方を最初から考えるのではなく、ゴールを奪うための戦術を常に考えていくのが自分の目指す指導者像でもあります。(最近ではダニエル・ファルケ監督のノリッジ・シティの戦い方にインスピレーションを受けています)
これを踏まえた上で、私が監督としてチームを率いた時選手たちにまず伝えようと思っていることは
①「相手の裏を取る」
「相手の裏」とはもちろん相手最終ラインの背後です。なぜなら相手ゴールに一番近いエリアで、かつ狙うことが簡単だからです。ドリブルが上手い選手に3〜4人抜いてもらってシュートを決めてもらえればそれが一番いいのですが高いレベルになると当然簡単には許してもらえません。現実的なのは必ず空く相手GKとDFの間のライン間を意図的に、スマートに突くことです。これは相手がどのレベルにあっても共通事項ですから効率が良いですしチームにも落とし込みやすい利点があります。
これを聞いた選手たちは早速、(恐らく一番スペースの与えられるバックラインあたりから)長いボールを相手DFの裏に向かってボールを蹴りだし、同時に前線の選手たちは次々に走り出すと思います。しかしそう簡単にいかないことに気づきます。相手DFからしたら修正もまた簡単です。ボールが空中にある時間が長いので、ライン操作をする余裕があるからです。
選手がこの一つの壁に直面した時、私は次のように指導しようと思っています。
②「相手陣地でプレーし、裏を狙おう」
何が必要になるか。相手の陣地に行くためにCBがドリブルでボールを運ぶか、最終ラインからボールを繋ぐ(ビルドアップ)ことです。相手陣地でプレーすることによって、出し手までの距離は短くなるので相手の背後を狙いやすくなりますし相手DFは瞬間的なライン操作が求められるので対応しにくくなります。これを聞いた選手たちはボールを繋いでハーフラインまで前進します。(すごく省略しましたがビルドアップについてはまた別の機会で話します)
そしてここからが私の「最も得点に結びつきやすい」と考える最終形です。
③ニアゾーンの攻略
まずニアゾーンとは次の画像の赤いエリアを指します。
話の記憶では2009年あたりに元日本代表監督の岡田武史が「ニアゾーン」と口にしたことで日本では広がったそうで、元々は現マンチェスターC監督のペップ・グアルディオラが「ポケット」と言い始めたことからワールドワイドに広まっていったとか。
言葉から何となく想像がつくかも知れませんが「ポケット」とあるようにサッカーにおけるSBとCBの背後間は構造的にスペースが空きます。相手は当然、ゴールを奪われないように守備をするわけですから中央を一番警戒し突破されないように守りますよね。今思えばCBにサイズのある選手やチームで一番守備のできる選手を置くチームが多いのはそのためです。
つまりどのチームも中央突破を許してくれないことを前提にしたとき、一番合理的なのが相手SBとCB間の背後を狙うことではないかと考えています。仮に味方のFWかサイドの選手がこのスペースを見つけ走り込んだ場合、最初から空いているエリアなのでタイミングさえあってしまえばゴールに効率的に辿り着けます。なぜならクロスをあげるにしてもすでにペナルティエリアの中にいるからです。距離の近いFWに預ければゴールは1〜2m前ですし、自らゴールを奪うこともできるので得点の確率はグッと上がることがわかります。
このようにニアゾーンを攻略すると得点の可能性は多いに上がることがいえると思います。ペップ率いるマンチェスターCはもちろんアーセナルのエメリ監督もいかにこの赤いエリアを効率的に攻めていくかを考えているそうです。
④ハーフスペースの優位性
さらに深く掘り下げたとき、ニアゾーンと切っても切れない関係にあるのが「ハーフスペース」です。この前提に「5レーン理論」という一つの考え方があるのですがここでは言葉の定義だけ説明し、詳しい話は次回にさせて頂きます。
まずコートを4つの線で区切り、5つの縦のゾーンを図示します。右から右アウトレーン・右「ハーフスペース」・センターレーン・左「ハーフスペース」・左アウトレーンと呼ぶことにします。更に、下から上に攻める場合に見る相手陣地を横に3つに区切り、青く囲まれたエリアをハーフスペースと定義します。
一旦話は戻りますが、仮に相手の裏を取ったとしてアウトレーンからクロスを上げるとします。すると当然ゴールから遠のくので浮き玉のクロス、言い換えると浮き玉・グラウンダーに関わらずFWに得点に取らせるためには精度の高いクロスボールが要求されることが分かります。この時点で自然と中央を固める相手から得点を取る確率は下がってしまいます。それと比べた時、ニアゾーンを取れればどうなるかは③で述べた通りです。
その点でいかにニアゾーンを攻略すれば得点のチャンスを増やせるかをこの5レーンの理論が教えてくれるように思います。(2017〜2018シーズンでプレミアリーグ史上最多得点・最多勝ち点を記録したマンチェスターCのゴールシーンを見てみればその答えがわかると思います)
そこで先程のニアゾーンの画像と見比べてみてください。ハーフスペースの延長線上とニアゾーンが重複していることがわかります。私がここで言いたいのはハーフスペースで受けてしまえばこのニアゾーンにボールを運べる可能性が高まるのではないか、ということです。
図を見てもらえば分かるようにハーフスペースに位置した選手がボールを受けたときニアゾーンに侵入するための多くの選択肢があることがわかります。
①ウイング(図中アウトレーンに位置する選手)へのコース、②FW(図中中央)へのコース はもちろんですが図示していないところでも例えば③FWとのワンツーでニアゾーンに侵入することもできますし、④左ウイングの選手の足元にボールを預けて自らニアゾーンに侵入することも可能です。もっと言えばパスを出すと見せかけて自らミドルシュートも打つことが可能な位置です。
また、このとき大切なのはハーフスペースの選手の立ち位置です。ボール保持者と味方、そしてゴールが見える体の向きを取っているのが肝だと言えます。情報量が多ければ多いほど受け手は有効的なプレーが可能になるのは言わずもがなです。
このように言葉で説明すると簡単に聞こえますが自分の見ている範囲で海外のサッカー選手でも意図的な狙いを持ちながらこれができるのは数名しかいないと思っています。なぜならハーフスペースで受けるためには、「ボールを引き出す選手の技術(=足元の技術だけでなく空間を見つけるセンスと能力)」、「周りの選手のポジショニング(=ハーフペースを空けるためのルールと配置)」と複雑な要素も絡むと考えているからです。
今回私が言いたかったことをまとめると
「ゴールを奪うためには相手最終ラインの裏を取ることが必要不可欠⇨相手陣地からボールを供給することで背後を取りやすくする⇨背後といってもニアゾーンで受けることができれば得点の確率は大幅に増す⇨ニアゾーンを多く取るためにはハーフスペースで優位性を保つことが必要」
言葉足らずだったかも知れませんが、私なりの「得点を取る確率を上げるプロセス」を理解してもらえたでしょうか?
今回はここまでにします。次のテーマは最後にお話しした「周りの選手たち」の配置について書いていこうと思います。少し紹介するとハーフスペースで上手く受けるためには前線の選手たちの「ピン留め」が必要ではないか、ということです。
気になればまた見てください。よろしくお願いします!