クリスマスの日

突然、彼女は倒れてしまった。


顔面蒼白でぐったりしていたため、
すぐに救急車を呼んだ。

救急車の中でも、
自分の名前を言ったり、意識はあった。
ただ、「寒い」「頭が痛い」と繰り返していて
とても辛そうだった。

私は自分のダウンをかけてあげて、
苦しさが少しでも柔らいで欲しいと
手を優しく撫でていた。

目の前で苦しんでいる彼女に対して
そのくらいしかできることがなかった。
ただ苦しんでいる彼女を
見守ることしかできなかった。


搬送先はなかなか決まらずにいた。

一度だけ「暑い」と言った後、
状態が変化していったように思う。
救急車はすでに走り出していた。

救急隊の声かけからに対しても、
言葉を発しようとしていたが呂律が回っていない。
徐々に反応も無くなっていった。

とても怖かった。
ただただ祈るしかなかった。

病院に着く直前に心停止した。
何が起きているのか、
もはや理解できなかった。


病院に着いたときには、1時間が経過していた。

救急車が到着するとすぐに蘇生処置が始まり、
医師もすぐに駆けつけてきた。

廊下で待つように言われ、
その後も祈ることしかできなかった。

電気ショックの音や医師たちの掛け声が続く。
到着後さらに1時間は経過していた。

医師から心肺停止の状態と説明があり、
心臓マッサージで肋骨は折れ、
口から血も吐いている状態。
このまま心臓マッサージを続けるか、
ご家族に選択を求める。

本人はきっと頑張っていて、
とても辛い、痛い、苦しいかもしれない。
でも、諦めることなど、どうしてできようか。

祈りは続く。

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