#007 『奥行き20センチ』
話は少し変わる。
コロナ禍で外食をそれとなく控えている昨今、週末は街に出たついでに百貨店やスーパーで出来合いのお惣菜やお弁当を買って帰ることが多くなった。世の中では統計的にも中食が増えているらしいが、我が家もその数値に少なからず貢献していると思う。(週末は妻の主婦業をお休みさせてあげたい気持ちもある。)
普段からエコバッグ的な袋は持ち歩いているものの、“奥行き20センチ”はあろうかと思われる”晩酌セット”や”ハンバーグ弁当”をその袋に入れるわけではない。
それらを袋に入れた場合、知らず知らずのうちにすーっと斜めになっているか、斜めにならないようにそーっと底の部分を抱えながら持ち帰らなければならないのが容易に想像できるからだ。
その不便を考えると、多少のお金を払ってもお店で用意してくれている紙袋やビニール袋に“奥行き20センチ”を納めたくなる気持ちは、ある程度の共感値を獲得できる気がする。
“奥行き20センチ”を持ち帰る度に、これが斜めにならないようなエコバッグがあったら良いのにといつも思っていた。それに加えて、世の中のエコバッグはなぜこうも女子よりのデザインばかりなのだろう、とも思っていた。
ある日、日本橋からの帰り道に“奥行き20センチ”が入った有料の袋を手にしながら、次のmyogは何にしようかと考えていた時に、セレンディピティが起こった。
ずっと欲しいと思っていた”奥行き20センチ”が斜めにならないエコバッグが、世の中にないのなら、自分で作れるじゃないか。
ーという閃きが、頭の中で結びついたのだ。
翌朝は興奮冷めやらぬ中、4時頃に起きて、頭の中にイメージとして浮かんだ〈エコトートバッグ〉の線をノートに描き始めた。