me6e I-D執筆

I-D執筆まで

技術を考案した時点で、この技術もIETFに提案してみたいと思っていました。ただ、それに値するかの評価は必要と考えました。

それには、既存の技術と比較して、違いがあるのか、メリットはあるのかを比較してみることが必要と考えました。
対象となりそうなのは、L2TPやVPLSなど、WAN環境で使用される実用化済みの技術の他に、この頃、データセンターネットワークを対象に、NVGRE、VxLANなどが標準化提案が行われていました。

I-D執筆の動機

NVGREやVxLANを調べてみたところ、学習ブリッジの動作を忠実に行う方式であることがわかりました。ブリッジの動作は、フラッディングが基本で、IPネットワークで行う場合は、IPマルチキャストやブロードキャストが前提となります。注目したのは、こちらのIPマルチキャストが現実的に動くかどうかです。一方、データセンターやクラウドであれば、IPアドレスやMACアドレスは、管理可能でしょうから、動的な学習が必ずしも必要ないのではと考えました。そして、フラッディングは動的な学習を行う手段であり、それが不要であるなら、フラッディングは必ずしも必要ないという仮説を得ました。

この仮説は、結構大胆と思いましたが、すべてユニキャストの通信に置き換えられれば、それはそれでメリットが大きいのではと考えましたので、提案する価値があると思いました。まあ、その仮説、すなわち、私の考えが誤っている/甘ければ、仕方ないなと思うくらい、提案してみる価値があると思ったのです。

整理してみると、フラッディングベースのL2オーバレイ技術に対して、L2をユニキャストルーティングで最短経路で転送するアプローチの違いになります。マルチキャストの運用を省けるメリットは大きいと思いますし、なにより、L2ネットワークの悩みの種である、ループの発生は回避できる筈で、このメリットの大きいのではないかと考えました。ともかく、単純化です。

技術名称

当初、この技術の名称は、SAE6Tにする予定でした。SA46Tに対応した名称で、IPv4をEthernetに変えたものです。しかし、実際に提案できたのは、それから数年後で、その際、名称を考え直して、ME6Eとしました。具体的には、ME6E-FPと、ME6E-PRです。

I-D執筆・提出

I-Dの提出は、ちょうど、日本の横浜で開催されるIETF会議をターゲットにして準備を進めました。幸い、2015年10月17日に提出できました。

これで、ME6Eのデビューです。

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