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震災遺構・仙台市立荒浜小学校【宮城県仙台市若林区】

大津波が押し寄せた当時の被災状況を後世に伝える「伝承施設」

仙台市営地下鉄東西線の終着駅「荒井駅」からバスで20分ほど行ったところ、太平洋からもすぐそばというこの地域は平成23年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震による津波(東日本大震災)により、甚大な被害を受けました。
今でこそ、この地には小学校以外に建物は見当たりませんでしたが、震災前には「荒浜」という集落があり、多くの人が住んでいたそうです。

荒浜小学校の校舎

大津波のすさまじさを物語る様々な遺構

この校舎は4階建てと屋上から成り立っており、1階は津波によって完全に浸水したため、教室は天井板がはがれるなど本当に無茶苦茶な状態でした。

津波の浸水高を示すパネル(1階は完全に浸水したことがわかります)
浸水により天井板がはがれた1階の教室
浸水により天井板がはがれた1階の教室
津波の威力によって折れ曲がった2階の柵

耳で聞くだけではなかなか理解できない当時の状況

施設内の展示の中で、当時小学校に通っていた児童や先生の話を聞いていると、「まさか津波が来るとは思わなかった」というのが印象的でした。
心理学では、マグニチュード9クラスといった強い地震が起きた際でも、「津波なんて来やしない」「自分は大丈夫」という根拠のない安心感が生まれ、避難を遅らせることがあるようです(正常化バイアス)
「強い地震があったら、頑丈な建物や高い所へ避難する」という意識づけが必要だと感じました。

津波が押し寄せてきた時に避難した校舎の屋上

将来起きる災害に備える

昨年は元日に能登半島地震が起きるなど、東日本大震災以降もたびたび「大災害」と言っても過言ではない地震が起きています。災害が起きるたびに、「どうして甚大な被害が起きてしまったか」という教訓を得て、尊い命を守るためにも、将来起きる災害に備えなければならないのではないでしょうか。そういう意味でも、被害状況を後世に伝える「震災遺構」というのは、防災や減災に活かす「学びの場」として非常に重要な施設であると思います。
「防災意識を高める」「自分や周りの命を守る」という意味でも、当施設をはじめとする「震災遺構」を目で見て、当時の状況を想像して考えることを強くお勧めします。

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