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【大火傷】足がしばらく不自由になりました【現状報告】

あっ!と思ったときにはもう遅かった。
パスタを茹でようとして沸かしていた熱湯を鍋から足元に全部ぶちまけ、両足の甲を直撃した。
慌てて飛び退いたが、次の瞬間すさまじい痛みが襲ってきた。

真っ青になって風呂場に駆け込み、冷水をシャワーで浴びせた。取り返しのつかないことをしてしまったというショックと狼狽。
1時間、2時間と冷水を浴びせても、痛みはいっこうに引かない。みるみる両足はいびつに変形を始め、これが自分の足とは思えないほど、巨大な水ぶくれが幾つも膨らんできた。
全身から油汗が出てきて、雪の夜というのにひどく暑い。とにかく冷水だ。

結局明け方まで7時間くらいは冷水シャワーを当て続けた。さすがに眠くなって、たまたま常備していた紫雲膏を塗ったら、やっと気分が落ち着いたので少し仮眠を取った。
翌日、幸い気温が上がって雪も溶けたので、夕方になって近くの皮膚科に行った。痛みで全く歩けないが、かろうじて自転車には乗れた。足にあまり体重がかからないから、何とかそれで行けた。
全治2週間とのことだった。

ところが、2週間たっても右足だけは一向に良くならない。左足はほぼ完治したのだが。
大福餅くらいの大きさだった右足の甲の幾つもの水ぶくれは全部破けて、むしろヒリヒリする。ちょっと体重をかけると鋭い痛みが走る。
皮膚科に相談したら、思いのほか火傷の深度が深く、場合によっては皮膚の移植手術が必要になるかもしれないとのこと。とにかく塗り薬の量を増やし、様子を見ることになった。

すでに仕事を再開しているが、本来のペースにはほど遠い。ゆるゆると頑張るしかない。

最近はどこに行くのも松葉杖である。アマゾンで3000円で購入したが、なかなか役に立っている。ヨタヨタノロノロと不器用に歩いていると、どこに行っても親切にしてもらえる。電車でも席を譲られるし、道を空けてもらえたり、荷物を持ってもらえたり。世間には優しい人が多いと感じる。だがこれは見るからに身体が不自由だからであって、外見ではわからない病気の人は大変だろうなと思った。

コンサートホールにも頑張って何度か行った。駅からあまり歩くところは辛いので、駅近のホールに限るけれど。
杖をつきながらコンサートに行ってわかるのは、完全なバリアフリーはほぼないということ。ほんの数段の段差でも、足の不自由な人間には大変厳しい。また、硬い床よりも絨毯敷きの方が、足の不自由な人間にはありがたいと実感した。
結局ハード面でのバリアフリー不足を補うのは、会場にいる人の気遣いしかない。特に手を貸してくれたりということがなくとも、わずかな優しい言葉だけでも本当に嬉しい。心が助かる。
しかし松葉杖というのはとても体力を使うと知った。一度外出すると翌日はヘトヘトになってのびてしまう。

このように、思いのほか火傷の後遺症が後を引いているが、この痛みもいつかは治ると思うから、たいして辛くはない。長い痛みを抱えている人はさぞや大変だろうと思う。

街に出ると、両足に靴を履いて、颯爽と歩く人をとても眩しく感じる。歩くということは、人間に与えられた偉大な能力のひとつなのだと知った。



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