アンクルモーティスについて
Ankle mortise(果間関節窩)について
距腿関節の屋根の部分(ほぞ穴)を示す言葉としてAnkle mortise というものがあります。
これは・・・
距腿関節における関節窩が外果、天蓋(脛骨下端の関節面)、内果で構成され、ほぞ穴構造をしており、このほぞ穴構造のことを「mortise(モーティス)」と呼びます。
足首(ankle)のほぞ穴構造ということから「ankle mortise」と言われています。
距腿関節はIC〜LRで下肢を振り出して、踵が地面に接地した後、側方の不安定性を排除しながら足部に対し真っ直ぐに荷重できるようにする為、ほぞ穴構造をしています。
関節面による安定性
距腿関節は骨・関節の形状から以下のような特徴があります。
①関節面は同じ距離だが、内果が外果よりも上方かつ前方に位置する
②内果と外果を結んだ線は膝関節軸に対して外旋位になっている
③距骨の関節面は前方が広く、後方は狭い
④距骨滑車の内側は矢状面上へ
などの特徴があり、この①〜④の骨格構造から
・内返しの運動に対し骨性の制限が弱くなり不安定になる。
・外返しの運動に対し骨性の制限が強くなり、安定する
・背屈時、天蓋に接触し、Ankle mortiseに挟まれることで骨性に安定
・底屈時距骨と天蓋の接触面積が減少し関節内に遊びが生じ、
不安定位になる。
という機能が得られます。
距腿関節は背屈方向に動いた際、距骨の関節面の形状と副運動で距骨が後方へ移動することから、距骨がAnkle mortise内で挟まり、骨性の安定性が高くなります。また、背屈時に外反の動きも加わり、より安定性が高くなります。
このことから背屈の動きを評価する時、距骨がしっかり後方へ移動しているのを感じながら動かして評価していく必要があります。
また、背屈運動時、距骨の後方移動がとても大切になってくる為、骨折等で腓骨の動きが制限されていないかの確認や踵骨隆起周囲の皮膚の柔軟性、ケーラーズファットパッドの柔軟性、アキレス腱〜下腿三頭筋の伸張性の確認が重要になってきます。
底背屈時の腓骨の動き
足関節を底背屈した際、距腿関節だけでなく、腓骨も一緒に動きます。
<足関節背屈時>
開排・挙上・内旋
→腓骨の遠位が外に拡がりながら上方へ上がっていき、内側へ少し回転してくるイメージ
※距骨の前方関節面が入ってくる隙間を作る為。
<足関節底屈時>
集練・下制・外旋
→腓骨の遠位が下に下がりながら内方へ近づき、外側へ少し回転してくるイメージ
※距骨の後方関節面の接触面積が少なくなるので、腓骨を近づけて関節面と関節窩の距離を一定に保とうとする為。
まとめ
Ankle mortiseは距腿関節の動きを評価する時にとても大切になります。
特に足部を背屈方向へ動かしていく際に、骨性のロックが生じる感覚や副運動での距骨の後方移動を意識することで、被験者の足部が正常可動域まで背屈できているかを評価することができます。また、可動域制限があった際にも制限因子を見つけるヒントにもなるので日々の臨床で足部を触る際意識してみて下さい。